ルディ・ゴベア

勝敗が決した状況で得点を奪い、ジャズファンのブーイングを浴びる

ルディ・ゴベアは9シーズン所属したジャズからティンバーウルブズへとトレードされて今シーズンを迎えた。12月9日は、彼にとって初めての古巣対決となった。試合を前に会見をしたゴベアは、「すべてが奇妙に感じるよ」と話すとともに、ジャズとソルトレイクシティへの愛情を隠さなかった。

移籍しても、彼の家はそのまま残っており、地域貢献のための活動もこの地で引き続き行っている。「人生の3分の1をここで暮らしたんだから、故郷のように感じるのは当然だよね。街を車で走っていると、たくさんの思い出が浮かんでくる。コート上として成し遂げたこともそうだし、コートの外で築いた人間関係はそれ以上に大切なものだ」

ウルブズのユニフォームにはもう慣れたつもりだったが、ユタに戻ってビビント・アリーナに来るとこれまでの感覚が鮮やかに蘇り、ユニフォームを間違えたように感じる。長年プレーしてきたアリーナだが、ビジターチームのロッカールームを使うのは初めてのことだ。

「コートに立つとどんな反応を受けるのかまだ分からない。SNSで見た感じだと好感触みたいだから、そうなってくれると良いんだけどね。どれだけ応援してもらえるか分からないけど、とにかく感動するだろうな」

そして、試合開始前に彼の名前がコールされると、アリーナを満員にした約1万8000人の観客がゴベアに大きな拍手を送った。彼の名前を叫ぶ者もいれば、彼の背番号27がプリントされたユニフォームを掲げる者もいる。ゴベアの望む形で試合は始まり、トリビュート映像が流されるとファンは大歓声を上げ、ゴベアも手を挙げてそれに応えた。

ウルブズが118-108で勝利し、22得点13リバウンドと活躍したゴベアにとっては最高の夜となったが、最後に少しだけ傷が付いた。第4クォーター残り22秒、114-106とウルブズの勝ちがほぼ決まった状況で前からのプレッシャーをかいくぐってパスが渡ると、ゴベアはダンクでフィニッシュした。この時にアリーナは少しざわついたのだが、試合はそのまま進行した。そしてもう一度ウルブズの攻め。同じような形でゴール下でフリーのゴベアにボールが届き、彼は静かにレイアップを決めた。この時の残り時間は2秒。ジャズのファンはブーイングでその行動を非難した。

試合はそのまま終わったが、マリーク・ビーズリーがゴベアに詰め寄り「無礼だ」と言った。勝敗が決した後は点を取らないのがNBAでは暗黙の了解で、これを破ると相手は侮辱されたと感じる。同じ日、ペリカンズではザイオン・ウイリアムソンがこの状況でスリーシックスティーのダンクをブチかまし、サンズを激怒させている。それに比べればゴベアの行為は控え目なものだったが、古巣対決の最後は少し後味の悪いものとなった。

「僕は最後の1秒までプレーを続けるよう教えられてきた。誰かを見下す意図は全くなかった」とゴベアは釈明するが、感じているのは反省よりも憤りだった。「僕に向かって来たのは、最初から僕と握手するつもりのないヤツだ。注目されたかったんだろうね」

本来であれば、かつてのチームメートや顔馴染みのスタッフともっとコミュニケーションを取りたかったのだろうが、コート上でインタビューを受けた後は、初めて使うロッカールームへと早々に引き上げることになった。