デイミアン・リラード

「チームのポテンシャルを最大限に引き出すのが今の僕の仕事だ」

トレイルブレイザーズは11月3日に敵地でジャズと対戦し、その日の深夜にポートランドに戻って4日にペイサーズとのホームゲームに臨んだ。ジャズ戦はアンファニー・サイモンズがキャリアハイの45得点を叩き出す活躍で勝利したが、移動もあってチームには疲労の色が濃い。だが、そのタイミングでデイミアン・リラードが戻って来た。

リラードは右のふくらはぎを痛めて直近の7試合を欠場していたが、このタイミングで戦線復帰。ジェレミー・グラントが29得点、サイモンズが22得点、リラードが21得点、ユフス・ヌルキッチが19得点と、リラードのプレーメークからバランスの良いオフェンスを展開し、116-100で勝利した。

指揮官チャウンシー・ビラップスは「ユタから移動しての試合は本当にハードだ。接戦にならず勝ちきることができて正直ホッとしている。でも、簡単に勝てたわけじゃない。彼らの攻めは多彩だし、良いシューターもいる。止めるのが大変だが、選手たちは良いプレーをしてくれた」と語る。

リラードは21得点4リバウンド6アシストを記録。32分間コートに立ち、この間の得失点差はゲームハイの+30と、半月ぶりの実戦でもいつもと変わらない存在感を見せ、試合を支配した。

「前日に良い勝利を挙げていたから、連勝してチームを勢いに乗せる意味でも、自分が大きなエネルギーをもたらしたいと思っていた」とリラードは言い、自分のコンディションについて「いつもと変わらない感じでプレーできた。何か制限しなければいけないこともなかったし、気分良くプレーできた」と、もうケガが問題ないことを強調する。

リラードが戦線離脱してから、ニックスを相手に延長で競り勝った以外は負けが続いており、10勝6敗だった成績は10勝10敗まで落ちていた。リラードは前日のジャズ戦を振り返り、「ここまで11試合に負けているけど、どれも自分たち次第で勝ちに持っていけたと思っている。だからこそ、勝率が5割を切るなんてあってはならないと思っていた。連敗を止めてほしかった」と言う。

「そして、仲間たちがやってくれた。昨日のチームの戦いぶりは誇らしいものだったよ。あの試合に勝ったことで、実力を証明できた。そして今日、僕は復帰した。プレーできてうれしいし、勝ててうれしい。だけどもっともっと上を目指したいと思っているんだ」

『もっともっと上』が具体的にどこなのか、リラードは言及しなかったが、ブレイザーズがまだまだ成長し、高みを目指せることを彼は信じて疑わない。

「僕は今までエースとして試合を支配してきたし、何が起きても自分らしくプレーする方法が分かっているつもりだ。でも、今シーズンは初めての経験をしている。40得点できる選手が何人もいるのは初めてで、贅沢なことだよ。それを受け入れて、チームのポテンシャルを最大限に引き出すのが今の僕の仕事だ」

「僕が無理をして、必要以上のプレーをしても意味がない。本当に勝ちたいなら、それは個人ではなくチームでやらなきゃいけない。今のチームの状況は、僕を本当の意味で奮い立たせるものなんだ」

サイモンズとグラントの得点力がある今、すべての試合で『デイム・タイム』は必要ない。だが、リラードはそれを自分の存在価値の毀損になるとは考えず、「贅沢」と歓迎している。32歳になった彼は以前より少しケガが多くなったかもしれないが、ブレイザーズは今まで以上に強いチームになる可能性を感じさせる。これこそが、リラードの望んでいたシチュエーションだ。勝負のシーズンに、彼が奮い立つのは当然のことだ。