ルカ・ドンチッチ

ブランソン「僕は彼らをリスペクトしている」

ジェイレン・ブランソンはルーキーイヤーから4シーズンを主力として過ごしたマーベリックスを離れ、ニックスへと移籍した。ニックスからは4年1億1000万ドル(約140億円)の高年俸、かつ父親をスタッフに迎え入れるなど破格の待遇で迎えられ、高いモチベーションを持って新たな挑戦に乗り出したが、それとは別にマブスへの愛着を持ち続けてもいる。

12月3日、ニックスはマディソン・スクエア・ガーデンにマブスを迎えた。ブランソンにとっては初の古巣との対戦で「正直に言えば、試合を楽しむ気分にはなれない」と心境を明かしている。それはマブスの選手たちも同じで、ティム・ハーダウェイJr.は「彼と対戦する実感がない」と言い、ルカ・ドンチッチは「他のチームでプレーするジェイレンは見たくない。また寂しい気持ちを味わうことになる」と語っている。

結果はマブスの圧勝だった。前半はニックスが最大15点のリードを奪ったものの、後半は完全なマブスのペースだった。第3クォーター残り7分までに同点とし、そこから25-6のランで一気にリードを広げ、その後もペースを落とさずニックスを振り切った。

この第3クォーターの出来をドンチッチは「僕らが本当の意味でチームとして、楽しみながら戦うことができた結果だ」と自画自賛する。25-6のランにおいてドンチッチは14得点2アシストを記録。いつも以上の気迫でチームのオフェンスを牽引した。

ヘッドコーチのジェイソン・キッドも、ブランソンの退団を惜しむ一人だが、今回は彼の作戦勝ちだった。指揮官によればブランソンは相手の研究と対策に熱心で、2人はその会話に多くの時間を費やしてきたという。ブランソンは相手のプレースタイルを学び、自分の得意なプレーをどう出すかを考える。これをキッドは逆手に取った。「お互いに手の内は分かっているから、ゲームプランを立てるのは楽しい作業だった」とキッドは言う。ペイント内でのピボットの使い方、素早いプルアップといったブランソンの持ち味を消し、聞き手ではない右手でレイアップを打たせるよう仕向けた。

結果、ブランソンは13得点3アシストとインパクトを残せず。加入早々からニックスのプレーの中心となっているブランソンがリズムに乗れなければ、ニックスは力を発揮できない。30得点8リバウンド7アシストのドンチッチと明暗が分かれたが、2018年のNBAドラフトの同期で、全体3位指名のドンチッチと2巡目33位指名のブランソンと差はあっても同じコートで切磋琢磨してきた2人の関係は変わらない。試合が終わるとブランソンはかつてのチームメートと抱き合い、ドンチッチとハグをして言葉を交わした時には笑顔も見せた。

「対戦相手にどの選手がいても、僕の試合へのアプローチは変わらない」とブランソンは言う。「でも試合が終われば話は別だ。みんなと握手して、いろんな交流ができて良かった。僕は彼らをリスペクトしているんだ。お互いすべてが上手くいって、また良い形で会えることを願うよ」