ルディ・ゴベア

「一番大事なのは、彼がそれを理解した上でフランス代表を選ぶこと」

フランス代表は去年の東京オリンピックと今夏のユーロバスケットで準優勝しており、来年のワールドカップで優勝を勝ち取るべく、来年のNBAドラフト1位指名が確実と言われるビクター・ウェンバニャマをチームに加えている。ウェンバニャマは11月の予選で代表デビューを果たし、「NBAに行くことが目標だけど、フランス代表の一員としてワールドカップでプレーすることも望んでいる」と、自分の気持ちを明かしている。

その一方で、代表参加の意向をはっきりさせないのがジョエル・エンビードだ。カメルーンのヤウンデ出身で、16歳で渡米して以降はアメリカを拠点に生活している。それでも彼はフランス国籍を取得しており、カメルーン、フランス、アメリカの代表を選ぶことができる。

フランス代表のGMを務める元NBA選手のボリス・ディアウはエンビードの勧誘を行っており、「ケガがなければ今夏にフランス代表でプレーしていたはずだった」と語っている。エンビード自身は以前に「NBAでのプレーが優先だが、代表でのプレーにも興味がある」と語っているが、フランスとアメリカの国籍を取得した後は沈黙を続けている。

エンビードがフランス代表入りを選択し、ウェンバニャマとルディ・ゴベアと並ぶラインナップは実現するのか。これについてゴベアは『The Athletic』に「ジョエルが来てくれれば、フランス代表にとっては大きなチャンスになる」と語る。だが、勧誘に全力を尽くすディアウGMの姿勢とは対照的に、「心がフランス代表とともにあるのであれば、ね」と続けた。

「国際試合は特に、紙の上で最高の選手たちを集めれば勝てるわけじゃない。ジョエルには、正しい理由のために選択してほしい。ただ参加するだけじゃダメなんだ。やるのであればオールイン、そうじゃなければ来るべきじゃない」

「フランス代表はNBAとは違う。彼にはそれを理解してもらいたい。チームにはルールがあり、時には全員揃ってランチやディナーに行く。みんな自分のことをやっているわけじゃない。一番大事なのは、彼がそれを理解した上でフランス代表を選ぶこと。そうなればウチのチームにとっては最高だね」

代表チームで活動する以上は、事前合宿を含めて長い拘束期間を受け入れなければならない。所属チームでやっているのとは異なるスタイルを受け入れ、その中で自分の役割を果たさなければいけない。そしてゴベアが力説するように、全員がチームを優先して行動することが求められる。ちょっとだけ来て、試合だけをこなして去る形もなくはないが、エース級の選手がそのような姿勢ではチームの結束力が高まるはずもない。

ゴベアはエンビードがそうならないよう、あらかじめ予防線を張っているとも言える。彼らが求めるのは大会のどこかでインパクトを残すことではなく、ファイナルまで進出して優勝することなのだから、それも当然だ。