ドノバン・ミッチェル

「最もクレイジーだったこと」はコロナで試合が延期になった夜

JJ・レディックがホストを務める『Old Man and the Three』にドノバン・ミッチェルが出演した。

ジャズからキャバリアーズへとトレードされた今オフ、ミッチェルはもともと自分がトレードされるとは思っておらず、チームが解体されるとも思っていなかった。そのためクイン・スナイダーが辞任した後、後任に決まったウィル・ハーディと今後のチームをどう作っていくかの話し合いを何度もしていたと言う。

それでもロイス・オニールとルディ・ゴベアのトレードも決まったことで、ハーディとは「僕らは別々の道を行くんだね」と話したそうだ。

「その時点でまだオフは始まったばかりだけど、次は自分だと思った。クインは辞任していたし、僕がトレードされるのは当然だったのかもしれないけど、僕はジャズでプレーし続けるつもりだったんだ。ちょっと間抜けだったかもしれないね。僕はどうやったら最高のプレーヤーになれるかだけを考えていた」

ミッチェルとレディックが会話する中で「今まで最もクレイジーだったことは?」との話題になると、ミッチェルは新型コロナウイルス感染の騒動のことを語った。2020年3月11日、ゴベアの新型コロナウイルス感染が判明したことでジャズとサンダーの試合が開始直前に延期となり、これを機にリーグは中断となった。この時にミッチェルも感染しているのだが、彼が語ったのはオクラホマシティでの夜のことだ。

「ルディは体調不良でチームと一緒じゃなかった。試合前のシューティングをしていたらロッカールームに連れていかれて、試合の延期を知らされた。ルディの陽性反応はそこで聞かされたんだ。まだコロナについて知識がなかった頃だから滅茶苦茶だった。僕らはロッカールームに9時間いたんだ。全員が検査をして、結果が出るまでどこにも行かせてもらえなかった。検査結果を待つ間、なぜか分からないけどワインが15本も運ばれてきて、みんな酔っぱらった。これからどうなるか分からない不安があるから飲むしかない。全員が酔っぱらってあちこちに電話をかけまくっていた」

「9時間後に迎えのバスが来たけど、運転手が防護服を着ているのを見て酔いが覚めたよ。それで、どこのホテルか分からないけど、ホテルに連れていかれた。ホテルの周囲は警察が固めていて、中には誰一人いなくて、食べ物もないし、何もできないんだ。誰も寝ようとはせず、ビールだけを飲んでいた」

「気の毒だったのは風邪をひいて咳をしていたエド・デイビスで、みんな彼から少しでも離れようとした。結局、彼はただの風邪で、コロナだったのは僕だったんだけどね。あの時はコロナの知識はなかったし、突然そんなことが起きて、恐怖と不安と怒りで気が狂いそうだった」

ここからNBAのシーズンは中断となり、オーランドの隔離エリア『バブル』にチームを集めて再開するまでに4カ月半を要した。「スポーツ史に残る出来事だと思う。あの夜のことは一生忘れない」とミッチェルは振り返った。