ヘッドコーチ交代で変化が期待されるも、従来通りの戦力で新シーズンへ

昨シーズンは43勝39敗と6シーズンぶりに勝ち越したホーネッツですが、プレーイン・トーナメントで敗れるとヘッドコーチのジェームズ・ボーレゴを解任しました。自分たちの歩みを否定するかのようなフロントは、後任にケニー・アトキンソンを選んだものの、今度はアトキンソンが翻意してアシスタントコーチとしてウォリアーズに残ることとなりました。その結果、候補として挙げられていなかった前ヘッドコーチのスティーブ・クリフォードが就任することとなり、オフェンス中心の選定だったはずがディフェンス中心のヘッドコーチへと戻ってしまいました。

この動きに伴ってオフの補強も活発化されるかと思われましたが、最大の懸念事項であったマイルズ・ブリッジズの契約延長問題が、ブリッジズ自身がプライベートでのDVで逮捕により、何も進展しないままトレーニングキャンプに入ることになりました。ブリッジズ分のサラリーキャップを空けるために大型トレードへと動くことも考えられましたが、これといった補強もなく現状維持で開幕を迎えます。

唯一の補強はドラフトでセンターのマーク・ウィリアムズを獲得したことで、これまでいなかったゴール下専門の強力なリムプロテクターをロスターに加えてきました。スモールラインナップでスピードを生かした戦術を好んだボーレゴから、ディフェンス主体のクリフォードへのわかりやすい変化かと思われましたが、プレシーズンのプレータイムは少なく、ほぼ従来通りの主力で戦う様子です。

ネガティブな要素が強いホーネッツですが、ブリッジズがいなくてもゴードン・ヘイワードさえ元気ならば十分にプレーオフを狙えます。ウイングとして高確率のフィニッシュもできれば、ガードとしてチームをコントロールする冷静なプレーメークもしてくれ、時にはセンター相手のディフェンスでも奮闘してくれます。しかし、あまりにもケガが多く、プレシーズンも欠場しており、エースとして中心的存在になり切れていません。

チームとしては苦しい一方でラメロ・ボールにとっては、自分のチームとして支配力を発揮するチャンスでもあります。ホーネッツはラメロ中心の構成をしているとはいえ、暴走癖のあるラメロを多彩なチームオフェンスで制御していた印象が強く、個人能力をフル活用していたわけではありませんでした。しかし、ブリッジズとヘイワードを欠いた状態ではラメロのプレーからすべてが生まれるスタイルへ進む雰囲気のため、チームの浮沈すべてを担うことになりそうです。プレーの華やかさもあってオールスターにも選ばれたラメロですが、フィールドゴール成功率など課題も多く、スーパースターへと飛躍できるかが問われるシーズンです。

勝っているチームのヘッドコーチを交代させる大鉈を振るいながら、選手は入れ替えなかったのは「今のロスターは勝てるロスター」だとフロントが評価していることになります。この捉え方が正しかったのか、すべては結果でしか語れません。毎シーズン着実に成長してきたホーネッツは、このままステップアップできるのか、それとも元に戻ってしまうのか、結果のみを追い求める新シーズンです。