アンソニー・デイビス

写真=Getty Images

『ツインタワー』再結成の可能性

2016-17シーズン後半戦からの1年半、アンソニー・デイビスとデマーカス・カズンズは、現代では珍しくなった『ツインタワー』として、ペリカンズの躍進に貢献した。

しかし、2018年1月下旬にカズンズが左アキレス腱断裂の重傷を負ってから、2人が揃ってコートに立つことはなくなった。そして今オフ、フリーエージェントの権利を手にしたカズンズは、交渉解禁後にオファーが届かなかったことに怒り、自ら格安のミッドレベル例外条項での契約を受け入れ、2連覇中の王者ウォリアーズに移籍した。

カズンズの復帰は、早くても年明けになると見られているが、ウォリアーズでプレーするのは今シーズン限りだ。指揮官のスティーブ・カーも「我々には来年のオフに彼と契約できるだけの余裕はない」と明言している。カズンズ側も、ウォリアーズでキャリア初のプレーオフに出場し、これまた初となる優勝に貢献した上で完全復活をアピールし、希望通りの大型契約を結ぶ計画を練っていることだろう。

そんな中デイビスは、「彼は来年またフリーエージェントになるよね。将来的に、また一緒にやりたい」とカズンズのペリカンズ復帰を希望していると『The Undefeated』に語った。

カズンズ離脱後、ペリカンズはブルズからニコラ・ミロティッチをトレードで獲得。レギュラーシーズンを48勝34敗で終え、プレーオフでは西カンファレンスのセミファイナルにまで勝ち進んだ。ウォリアーズに1勝4敗で敗れたものの、もしカズンズがプレーしていたら、全く異なる展開になっていた可能性はあった。デイビスも「彼のケガは本当に残念だった。それまでチームは上手くいっていたからね。もしデマーカスがウォリアーズとのプレーオフ・シリーズに出場できていたら、結果は違っていたかもしれない」と話している。

実際にカズンズがペリカンズに復帰する可能性は、決してゼロではないだろう。『The NewYork Times』によれば、GMのデル・デンプスは、カズンズが負傷した後で2年4000万ドル(約45億円)の新契約を提示したそうだが、希望条件との開きがあったため、再契約は成立しなかったと言われている。それでも、フリーエージェント選手との交渉解禁後、サラリーキャップに1370万ドル(約15億4600万円)の空きが残っていた時点で、デンプスはカズンズとの再契約に向け動いている。ラスベガスで指揮官のアルビン・ジェントリーともに会い、話し合う予定を立てていたと、『ESPN』が後に伝えた。だがカズンズが早々にウォリアーズ移籍を決めてしまったため、この話し合いもなくなった。

ペリカンズはオフにミロティッチと単年契約を結び、ジュリアス・ランドルとも2年契約を締結。ランドルの契約2年目はプレーヤーオプションのため、もしオプションを行使して2人がフリーエージェントになれば、来夏ペリカンズのキャップスペースには2500万ドル(約28億円)の空きが生まれると見られている。

デイビスとカズンズは、今も兄弟のような関係を維持しており、ジェントリーのカズンズに対する評価も高い。デンプスも『The Undefeated』に「私は、選手としてのデマーカスが好きなんだ。彼を応援している。成功を願っている」と語ったほどで、金銭的な条件を除けば、カズンズのペリカンズ復帰に支障はない。

来夏は同じくフリーエージェントになるケビン・デュラント、カイリー・アービング、クレイ・トンプソン、ジミー・バトラーらの去就が話題の中心になるだろうが、カズンズのペリカンズ復帰も、注目トピックの一つになるはずだ。