第3の外国籍選手への同情意見から垣間見えた「育成環境なきBリーグ」の課題

2018/11/03
Bリーグ&国内
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外国籍選手

文=泉誠一 写真=B.LEAGUE

外国籍選手2人のクラブがスタートダッシュに成功

開幕から1カ月が経ったBリーグだが、ファンの方々から「かわいそう」という声が聞こえている。今シーズンから外国籍選手が常時出場できるようになったが、ベンチ登録もオン・ザ・コートも2人まで。各クラブは外国籍選手を3人まで擁することができるが、そうなると必ず1人はベンチから外れることになる。うまくローテーションするクラブもあれば、ベンチ外が定位置となりつつある選手もいる。後者に対して「かわいそう」という同情意見が聞こえてきた。これまで10試合を終え、3分の1以下しか出場機会を得られていない選手は以下の通りだ。

秋田:ニカ・ウィリアムズ(2試合)
三河:グラント・ジェレット(2試合)
栃木:アンドリュー・ネイミック(1試合)
千葉:トレイ・ジョーンズ(1試合)
大阪:エグゼビア・ギブソン(1試合)
SR渋谷:マーカリ・サンダース・フリソン(0試合)
川崎:ジュフ・バンバ(0試合)

外国籍選手を3人登録する理由として考えられるのは大きく2つ。相手ビッグマンを想定した練習要員であり、ケガ人が出た場合の保険だ。しかし、保険として抱えていても出場機会がなければ自ずと試合勘を失い、不測の事態に本来のパフォーマンスを発揮できない可能性は否めない。

琉球ゴールデンキングスは、帰化枠のアイラ・ブラウンがいるアドバンテージも大きいが、外国籍選手を2人に抑えた理由が明快だ。佐々宜央ヘッドコーチは、ケガのリスクよりもベンチ外に選手がいることでチームとしての士気が下がることを危惧した。第3の外国籍選手を取らなかった決断が功を奏し、チームワーク良く現在西地区1位をキープ。奇しくも、中地区1位の富山グラウジーズと2位の新潟アルビレックスBBも外国籍選手の登録は2人だけ。東地区1位の栃木ブレックスと2位の千葉ジェッツは3人を登録しているが、第3の外国籍選手はいずれも1試合の起用に留まっており、実質2人で回している。3人を登録したクラブはより良い起用方法を見つけ出し、2カ月目はその答えをコート上で示すことに期待したい。

外国籍選手

第3の外国籍選手の『レンタル移籍』を認めてみては?

先日、大学リーグ戦に某クラブのGMがスカウティングに来ていた。立ち話の中で、昇降格があるBリーグゆえに即戦力を求めなければならない現実があると聞いた。極論を言えば、まだまだ身体ができていないが2mを超える若手がいたとしよう。本来であればプロクラブが契約し、2~3年かけて育てることが日本バスケ界の将来のためになる。しかし、そんな余裕も育成環境もないクラブの方が多い。インサイドに関しては育成に投資するよりも、手頃な外国籍選手を獲得した方が、戦力としても経営面でも目処が立つのが現状だ。

第3の外国籍選手を持て余しているクラブは、きっと金銭的に余裕があるのだろう。その一方でB2以下は潤沢な資金がなく、人件費に頭を悩ますクラブが多い。ならば、B1クラブが年俸を支払ったまま、B2クラブに第3の外国籍選手をレンタルできれば良いのではないか。コンスタントに試合に出ることでコンディションをキープでき、さらに出し入れ自由にすれば様々な組合せを試せるので、B1クラブにとってもメリットがある。

デメリットを挙げれば、その選手のおかげで昇格争いに絡めるようになったにもかかわらず、ケガなどによってクライマックスの時期に引き上げられてしまうケースなどが想定される。

思い切ってB1の外国籍選手の登録を最初から2人に制限し、登録期限である2月末以降にケガなど不測の事態が発生した時のみ、B2やB3の昇降格にかかわらないクラブから金銭トレードできるようなルールも考えられる。もちろん金銭で解決するならば、昇格がかかったクラブが手放したってかまわない。『稼ぐがすべて』のプロバスケクラブなのだから。

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ファンの名案「第3の外国籍選手に身長制限を」

先日、佐々木クリス氏が主催するファンミーティング『HUDDLE ROOM』が開かれ、記念すべき第1回目のゲストには大河正明チェアマンが登場した。その模様はBリーグ公式facebookでライブ配信されたが、参加者からの質問に対し、大河チェアマンが直球で返すぶっちゃけトークに盛り上がる。かわいそうな第3の外国籍選手を話題に挙げたファンの意見が秀逸だったので紹介したい。

「3人目の外国籍選手に身長制限を設け、ガード陣もマッチアップできるようにすれば良いのではないか」。これは素晴らしいアイデアである。どうしても小さな日本の場合、ビッグマンを外国籍選手に頼らなければならない。そのポジションを3人にしていては、これまでとなんら変わらない。だが、思い切った身長制限を設けることで、新しいバスケの境地が見られることだろう。世界を見渡せば、トップスコアラーはガードが主流であり、エキサイティングなプレーも増えるはずだ。

3シーズン目にしてレギュレーションを変えて臨む新たな試みは始まったばかり。これからフィットしてきて、さらにBリーグを面白くする可能性は十分にある。大河チェアマンも「トライ&エラーを繰り返しながら、しっかり検証していくしかない」と言っていた。

第3の外国籍選手がかわいそうな状況に注目したことで、もっと大きな課題に直面する。先に挙げたGMとの会話にあったように、日本人選手はどこで育成すれば良いのだろうか? 渡邊雄太がNBA入りできたのもGリーグという育成環境があり、彼の将来性を買われたからだ。

現在、BリーグはB1からB3まで46クラブもある。一方で、B1のロスター平均は12.4人、B2に至ってはベンチ入り可能な12人を下回る11.8人だった。Bリーグを目指す学生が増えている。ユースチームもスタートした。まだ覚醒していない若き才能を信じ、育てていくのはどこだろうか?