宇都宮ブレックスでBリーグ優勝を経験したテーブス海はさらなるステップアップ、チームを勝たせる責任感を求めて、今オフに滋賀レイクスへと移籍した。若手が多く、チャンピオンシップに絡めていなかったチームを変える難しさは本人も承知だ。テーブスの新たな挑戦が今始まる。
滋賀は「宇都宮に琵琶湖を置いた感じです(笑)」
──テーブス選手の滋賀レイクスへの移籍は多くのインパクトを与えました。滋賀に移籍した理由を教えてください。
プロになって今年で3年目になるんですけど、(宇都宮)ブレックスでの時間や代表活動などで大学生の時には知らなかった知識や技術が新たに身に付き、次のステップに行くにはそれをたっぷり出せるような環境にいたいと思ったからです。また、ブレックスでは先輩方が多くて自分が吸収する立場にずっといました。それは自分のためになったんですけど、次は同年代や他の若い選手に共有する立場にもなりたいし、リーダーシップをもっと良くすることにも繋がると思うので、自分の役割が変わるチームがいいと思いました。滋賀レイクスの会社、チームとしての計画などをいろいろと聞かせていただいて、そこに自分が入ってくると言われてたこともうれしくて、それも一つの理由になりました。
──その計画とはどういったことですか?
滋賀としてはただ単に良い選手を多く集めて勝ちたいという感じではなく、ポテンシャルのある若い選手を集めて成長させ、最終的にみんなに応援してもらえるチームを目指しています。それを聞いて滋賀のチームとしてのポテンシャルにすごい惹かれたし、自分もまだ若いのでその一員になりたいと思いました。
──滋賀での暮らしはいかがですか?
ちょうどいいですね。宇都宮に琵琶湖を置いた感じです(笑)。都会過ぎず、田舎過ぎない。僕にとってはすごく居心地が良い場所です。都会にたまに行くのは楽しいですが、もうちょっと落ち着いた環境の方が疲れないというか。僕は神戸で育ったんですが、都会もあるし山もあるし、それぐらいがちょうど良いので、それに近しい場所をずっと探しているんだと思います(笑)。
──1年目はとにかく自分をアピールし、2年目は勝ちにこだわる。3年目はエゴを取り戻すといったテーマを掲げていましたが、新シーズンのテーマは何になりますか?
正直なところ、各シーズンごとに壁があって、それによって自分の選手としての反応も変わってくるので、これまでのテーマはシーズン途中くらいまでは分からなかった部分はありました。ただ、リーダーシップを取ってチームを勝たせることが一番の役割になると思います。自分も含め、チームの成長ですね。
──強豪チームからの移籍という面で不安はなかったですか?
もちろん、1年で簡単にガラッと変わる事はほとんどないと思います。ただ、それを一緒に目指していくことで若い選手たちがどんどん成長していくことが理想です。
そういう意味では、今までと同じような成績では絶対にダメだと思いますし不安もありますが、時間がかかるものだとも思っているので、楽しみの気持ちのほうが強いです。リーダーシップを求められてここに来たという責任感もあります。それに応えないと次のステップにも行けないので、当たり前ですが楽しみです。
「チームのためにセルフィッシュにやらないといけないこともある」
──プレースタイルは変えるつもりですか?
変えるというより、要求されるものが違います。このチームは走ることが第一で、それをずっと要求されると思います。そこは自分の持ち味なので、それが一致しているのは良いことだと思います。ポイントガードとしての役割は変わらないんですけど、その中でどれぐらい積極性を出してほしいとか、どれくらい得点に絡んで欲しいのかという部分で変化はあるかと思います。
なので、数字での目標はないですね。自分はパスファーストのポイントガードだと思いますが、チームが得点を取れない時に自分も取れないと、チームを勝たせることができないと思っています。Bリーグの他の良いポイントガードでパスがメインな選手でも、「ここ」っていう時に点を取れる選手が多いので、そういうポイントガードになりたいです。
──個人的な数字の目標はないと言いましたが、意識するスタッツはどこになりますか?
選手のプラスマイナスは見ます。自分がコートに立っている時にチームが勝っているかどうかはコーチも見ていると思います。自分が良いプレーをしたとしても、たまたま5人が噛み合わなくてプラスマイナスがマイナスになってしまうこともありますが、長期間で見るとプラスマイナスは基本的に嘘をつかないので。自分がコートに立っている時にチームが勝てていることは大事ですし、どの選手もそこは見ていると思います。
これはもしかしたら自分がブレックスにずっといたからかもしれないです。ブレックスは常にどの5人を出したら勝てるかという考え方でした。勝つことがすべてだったので、そういう意味では自分が出ることで勝っているかどうかは特に意識するようになりました。
──ポイントガードは得点や特にアシストを気にする選手が多いイメージですが、プラスマイナスを気にするという考え方は面白いですね。
大学の時はそれが自分の役割だったので、アシストとターンオーバーは気にしていました。プラスマイナスの意味を分かったのはプロに入ってからかもしれないです。
例えばシュート成功率が10本中2本だとしても、ポイントガードはショットクロック残り4秒でボールをもらっていきなり打たないといけない場面もあるし、クォーターの終わりにハーフコートからシュートを打たないといけない時もあると思うので、10分の2という数字を見るだけでダメだったと判断するのは違うと思います。なので、チームにどれだけ貢献できたのかというのが一番大事かと。
0得点0アシストだったけど、自分が出ているときにチームがプラス20だったら間違いなく何かしているということです。ディフェンスではスティールはしてないけど、プレッシャーをかけて良いローテーションをして相手のオフェンスを狂わせているとか、オフェンスでは良いスクリーンをセットしているとか、良いプレーコールしているとかいろいろあると思うので。それは田臥(勇太)さんや鵤(誠司)選手など、偉大な先輩を見て学びました。
──チームの中心としてある程度の数字が期待される中で、プラスマイナスを意識するのは大変そうですね。
今まで以上に得点に絡むことが多くなると思うんですけど、自分のシュートが入らずにうまくいっていない時でもメンタルはブレずに、プラスマイナスを意識したプレーを続けることが一番の理想です。チームのためにプレーする中で、チームのためにセルフィッシュにやらないといけないことも絶対にあると思います。そこの見分けがつくようになったら、良い感じですね。
──ファンの方々にメッセージをお願いします。
昨シーズンはいろいろと苦しい時間を過ごした選手が多かったと思いますが、そういう意味では本当にハングリーな選手がめちゃくちゃ多いです。そのハングリーな精神、プレー、チームを見てもらいたいです。これからちょっとずつ成長していく姿を見せられるように日々努力していくので、ファンの方々にはその成長を見守っていただきながら応援をお願いします!