ヤニス・アデトクンボ

ギルバート・アリーナス「彼に求めるのはスーパースターの基準」

ヤニス・アデトクンボはユーロバスケット優勝を逃したが、その評価は全く傷付いていない。2013年のNBAドラフトで1巡目15位指名を受けてNBAにやって来た彼は、この9シーズンで成長し続けてオールスターの常連となり、2度のシーズンMVPに続いて2021年にNBA優勝とファイナルMVPを勝ち取った。リーグの歴史に残るレジェンドたちが選ばれた『NBA75周年記念チーム』に最年少で選ばれてもいる。

NBA優勝を成し遂げて以来、彼を批判する声は存在しない。だが、その中で鋭い指摘を続けているのがギルバート・アリーナスだ。ウォリアーズやウィザーズで活躍したアリーナスは、自身のポッドキャスト番組を持っている。現役時代は辛辣なトラッシュトークで知られ、今も手厳しい主張が多い。

今のNBAで最も完璧な選手と見られるアデトクンボに対しても、アリーナスは「バスケットボールIQが低く、スキルも成長していない」と厳しい言葉を並べている。

バスケIQについては「彼に求めるのはスーパースターの基準だ。クリス・ポールよりも賢く、レブロン・ジェームズより賢くプレーできているか? そうでないなら、私が正しいということだ」とアリーナスは言う。

だが、バスケIQは経験を積むことで高めていくもので、37歳のポールやレブロンとは状況が全く異なる。2人のようにチームを操り、試合をコントロールする能力を27歳のアデトクンボに求める方が無理というものだ。むしろアデトクンボはリーグ3位の29.9得点を記録しながら、アシストも5.8と高い数字を記録している。これはカイリー・アービングと並ぶ数字で、ポール・ジョージ(5.7)やドノバン・ミッチェル(5.3)、デマー・デローザン(4.9)より高い。27歳にしてすでに自分の身体能力とスキルを最大限に活用し、その中でチームメートを生かす術を知っていることに意味がある。

スキルの面でも、彼にとって最大の武器であるトランジションオフェンス、リムアタックからのシュートバリエーションを増やし、決定力を高める部分では年々大きく成長し続けている。相手ディフェンスがあまりケアしない3ポイントシュートはアテンプトは少なくてももう少し確率良く決めたいところ(昨シーズンの成功率は29.3%)だし、キャリアを通じて70%前後に落ち着いているフリースロー成功率にも向上の余地はある。それでも「スキルが成長していない」という指摘は厳しすぎる。

ユーロバスケット期間中に、アリーナスに反論したのがスロベニア代表のゴラン・ドラギッチだった。「ヤニスはMVPで、アリーナスは違う。だからアリーナスがヤニスを語ることはできない」とドラギッチは言う。

「引退した選手はメディアの注目を集めるために大きなことを言うものだ。彼は信じられないほどのスコアラーだったけど、時代が違う。今はヨーロッパ出身の選手がMVPになり、優勝する時代だよ」