日本代表で急成長した井上宗一郎、揺るぎない自信を胸に新シーズンへ(後編)「迷わずに、決めるつもりで毎回打つ」

日本代表で急成長した井上宗一郎、揺るぎない自信を胸に新シーズンへ(後編)「迷わずに、決めるつもりで毎回打つ」

2022/09/27 17:00
井上宗一郎

井上宗一郎にとって23歳の夏は忘れられないものになるだろう。若手を対象としたディベロップメントキャンプでトム・ホーバスに認められ、日本代表メンバー入りを果たすと、ワールドカップ予選Window3のチャイニーズ・タイペイ戦で3ポイントシュート3本成功を含む14得点を挙げて評価を確たるものとし、アジアカップ、Window4でも主力として活躍した。サンロッカーズ渋谷に戻った今、彼はまたルーキーとしてプレータイムを勝ち取らなければいけない立場に戻ったが、出場機会を得られなかった昨シーズンとは気持ちの持ちようがまるで違う。日本代表で得た自信は、彼の中に重要な変化を引き起こした。

「誰かに認められるのは、それに価値があるということ」

──もともと『シュートを武器とするビッグマン』のイメージはありましたが、日本代表であれだけ3ポイントシュートを決めたのには驚きました。何かきっかけはあったんですか?

代表では合宿の時から調子が良かったんですが、そこでトムさん(トム・ホーバス、日本代表ヘッドコーチ)に「君はシューターだ」と言われたのをきっかけに「どんどん打っていいんだ」というマインドを持てるようになりました。トムさんは合宿の最初に選手それぞれの役割について結構話すんですけど、自分が思っているものと違うことを言われる選手もいます。その中で僕はシューターの役割を与えられて、自分のシュートが認められたんだと思い、それが最初の自信になりました。

もともと3ポイントシュートには自信があったんですけど、周りからの評価はそんなに良くなくて、そうすると自分でも「違うのかな」と思ってしまいます。誰かに認められるのは、それに価値があるということで、そこで自信を持たせてくれたのが一番大きかったと思います。トムさんは「ストレッチ4を探している」と言っていたし、そこに自分が食い込むんだという強い気持ちで臨んでいました。

──もともとサイズがある選手なのにシュートの技術をしっかり磨いたきっかけは何だったんですか?

単純にシュートが好きだったんですけど、僕がちゃんとしたバスケに触れたのは大濠高校に入ってからです。高校生の時にはBリーグがあって、プロになりたいと思っていたので、インサイドだけできてもダメだ、3ポイントシュートも打てるようにならないと、とは当時から考えていました。片峯(聡太)先生は「向上心を持たないと成長できない」とよく言います。最初はみんな下手なので全員が頑張るんでしょうけど、試合に出れるようになると自主練しなくなる人もいて、その中でずっと向上心を持ち続けられる人がやっぱり生き残れるんだと分かったり。そんな中、僕はシュートが好きでポジションに関係なくシューティングでみんなと競い合っていたし、いずれプロを目指すなら外のシュートがあれば全然違うぞ、と思っていました。

──昔の話になりますが、福岡大学附属大濠のバスケ部に入った当初は練習についていくのもやっとだったと聞きました。そこからここまで来れたのは、やはり向上心を持ち続けられたからですね。

失敗した自分、最低な自分を知っているからこそ泥臭くやれる、それを僕は大濠で教えてもらいました。僕の人生は、どう考えても大濠に行ったことが分岐点なので、すごく大きな経験、自分の財産だと思っています。

井上宗一郎

「10分あれば自分の仕事ができるし、できなきゃいけない」

──新シーズン、スタッツで目標にすることはありますか?

3ポイントシュート成功率40%というのもありますし、その前にまずはプレータイムを獲得したいです。プレータイムは注目されないスタッツですけど10分あれば自分の仕事ができるし、できなきゃいけないと思います。繋ぎでもいいんですけど、そこからプレータイムを伸ばしていって、試合の大事な時間に出れるぐらいには成長したいです。第4クォーターの勝負どころでどれだけ出ているかが一番ですね。

──3ポイントシュートの成功率40%を達成するには、何がポイントになるでしょうか?

僕はスペーシングを読むとかオープンになる技術的なところが上手いわけじゃありません。代表ですごく調子が良かった時に考えていたのは、迷わないで打つことです。仮にシュートが入っていなくても、信頼してパスを出してくれるわけなので、そこで自信のないシュートを打っていたらチームメートに申し訳ないです。迷わずに、決めるつもりで毎回打つ。自分の中で今は それが一番重要だと思っています。

──日本代表は3ポイントシュートがオフェンスの中心になりますが、SR渋谷はそうとは限りません。

今のところ練習では僕の欲しいタイミングでパスが来ていますし、別に困っていることはないですね。さっきも言ったんですけど結局は僕自身の問題で、昨シーズンは中も外もと中途半端でした。今は外に振り切って、オープンでもらいやすい場所に行けている、3ポイントシュートを打つ前提で外に構えているので。

──3ポイントシュートは確率も大事ですが、アテンプトも伸ばしたいですね。

チャンスがあるなら平均6本とか打ちたいですけど、現実的に考えると3本か4本ぐらいだと思います。

──他に意識するスタッツはありますか?

ターンオーバーですね。どのチームに行ってもターンオーバーは課題に挙がります。ミスをすると良いイメージがないし、自分としても気持ちが乗っていけないので、できればゼロにしたいです。

井上宗一郎

「向上心を忘れずに自分にできる全力でやっていきます」

──昨シーズンは中も外も中途半端だった、という言葉がありましたが、インサイドでもプレーできる幅の広さも本来であれば欲しい能力だと思います。難しいバランスではありますが、どう考えていますか?

自分の武器であるシュートを警戒してくれればディフェンスは詰めてくるし、まずシュートを決めなきゃいけないですが、その先にはドライブもできるようにと、段階を踏んでいこうと計画しています。ゆくゆくは中も外もですけど、まずは3ポイントシュートで信頼を得て、プレータイムを伸ばしていきたいです。

──最終的にこんなプレーヤーになりたい、という理想像はどんなものですか?

本当の夢、最大の目標としては日本代表の主力選手になることです。オリンピックとかワールドカップの日本代表に選ばれて、日本代表が最高の成績を出した時、その舞台に自分が立っていたいです。

──そう考えると井上選手のポジションは『海外組』がメインを張ります。八村塁選手、渡邊雄太選手にもいずれは肩を並べ、追い越したいと思いますか?

滅相もないです(笑)。でも、向上心を忘れずに自分にできる全力でやっていきます。

──最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。

僕が日本代表でやったぐらい良い結果を残せれば、昨シーズンに達成できなかったBリーグ優勝にも貢献できると思っています。これから開幕に向けてしっかり準備していきますので、応援よろしくお願いします。

RECOMMEND