6,751人の観客。「復帰してみんなをがっかりさせたくない気持ちが一番でした」
琉球ゴールデンキングスは9月10日、仙台89ERSとプレシーズンゲームを行い96-77で勝利した。そして、この試合最大のハイライトと言えるのが、田代直希の実戦復帰だった。昨シーズン、田代は11月6日の新潟アルビレックス戦で左膝前十字靭帯断裂、左外側半月板損傷及び左大腿骨外顆骨挫傷で全治10カ月と見られる重傷を負った。当然のように残りシーズンは全休でファイナルもサイドラインで味方に声援を送ることしかできなかった。
だが、周囲の手厚いサポートに加え、何よりも本人のハードワークにより、開幕前の時点でコートに戻ってくることができた。桶谷大ヘッドコーチが「こんなに早くここまでプレーできると思っていなかったです。まだ開幕もしていない中、あそこまでコンディションを上げてくれた部分はうれしいです」と語るように、このタイミングでの復帰は良い意味で想定外だった。
プレシーズンながら6,751人もの観客を集めたこの試合で、久しぶりのプレーを披露した田代は、こう試合を振り返る。「すごく楽しみにしていましたが、復帰してみんなをがっかりさせたくない気持ちが一番強かったので緊張はしていました。それでふわふわした入りになってしまいましたが、それは仕方ないかなと。一つ目標としていたゴールが達成できたのはすごくうれしいです」
待望の復帰を果たした田代だが、まだまだコンディションは万全ではなく、これから実戦経験を重ねることでゲーム勘やフィジカルを取り戻していくことになる。桶谷ヘッドコーチも長い目で見ていくことが大切と強調する。「思った以上にできている中で、状態を徐々に上げていくのが理想だと思います。また、常に良いパフォーマンスをしていくのは難しい。焦らずにじっくりプレータイムを伸ばしながら質を上げていってもらいたいです」
新加入のダンカンは「昔から一緒にプレーしたい選手」に名前を挙げていた存在
調整途中とはいえ、頼れるチームリーダーが帰ってきたことは、当たり前だが琉球にとって大きい。昨シーズンのファイナル進出に大きく貢献したドウェイン・エヴァンス、ビッグラインナップのキーマンとなっていた帰化枠の小寺ハミルトンゲイリーが移籍したことを受け、今シーズンの琉球の目指すべき方向性を田代はこう考える。
「昨シーズンは、パワー、フィジカルで周りを圧倒していたイメージが強いです。今シーズンは、日本人選手がしっかりボールをコントロールして外国籍選手にアシストする場面が多くならないと少し厳しくなってくると思います。より日本人選手がハンドラーとなって外国籍選手に良いパスを供給することが大切になる。それが昨シーズンと違うところだと思います」
エヴァンスに代わる新たな中心選手の一人として大きな期待を集めるジョシュ・ダンカンについては「たまに遊びの中の会話で、Bリーグで誰と一緒にプレーしてみたいとなった時、僕は昔からダンカンと言っていました。だから、加入を聞いた時はすごくすれしかったのが率直な感想です」と明かす。そして、次のようにコンビネーションを構築していきたいと語る。
「僕が偉そうに言うのもあれですけど、ダンカン選手は年々、上手くなっている印象でピック&ロールで僕が彼の強みを引き出していきたい。外のシュートは誰もが分かっているところですが、もう少しパスのところ、ローポストの部分も引き出していく。それが、これから取り組んでいきたいところです」
最後にこれからの復活ロードについては、焦らずにじっくり行きたいと強調している。「本当に身体と相談しながらやっていきたいです。どちらかというと無理しちゃうタイプの人間なので、ダメならダメでちょっと休んでいきたいです。最後の最後にコンディションが上がってきて、チームとして必要とされる選手になれれば今シーズンは良いと思います」
チャンピオンシップを田代が万全の状態で迎えることができれば、それは琉球にとって何よりも昨シーズンと比べて最大のプラス要素となるだろう。それを実現するための第一段階をまずはクリアしたことをまずは祝福したい。
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