「俺はまだ金メダルを持っていない。今回が初めて獲得する大会になる」
ユーロバスケット2022はグループリーグを勝ち抜いた16チームによる決勝トーナメントがスタートした。優勝候補の一角フランスはオーバータイムの末、トルコに87-86で競り勝った。
フランスは43-35と先行して前半を終えるが、後半に入り6-22のビッグクォーターを作られ、8点のリードを奪われて第4クォーターに突入した。フランスもここから盛り返していくが、残り19秒で73-77と絶体絶命の展開に。しかし、2点を追う残り12秒でトルコのセディ・オスマンがまさかのフリースローを2本連続で失敗。これで九死に一生を得たフランスはエバン・フォーニエがフローターを失敗するが、リバウンドをルディ・ゴベアが豪快なプットバックのダンクを叩きこみ土壇場で追いついた。
オーバータイムでは僅差だがフランスのリードが続く。1点リードの残り16秒にはゴベアがフリースローを獲得するが、2本連続で失敗してしまう。第4クォーターとは真逆の流れとなったが、トルコはラストオフェンスで1対1を仕掛けたフルカン・コルクマズがボールハンドリングを誤って痛恨のターンオーバーを喫して万事休す。フランスが辛くもベスト8進出を決めた。
最後のフリースロー失敗はいただけないが、ゴベアは20得点に加え7つのオフェンスリバンドを含む17リバウンドと活躍。会見では次のようにチームのタフな精神力について語っている。「俺たちはファイトすることをやめなかった。ずっと自分たちを信じていた。もちろん俺たちのベストゲームではなかったけど、決してあきらめなかったことを誇りに思う。あの状況では多くのチームがあきらめるものだ。俺たちはそうならず戦い続けたことで報われた」
東京五輪での銀メダル、ワールドカップ2019の銅メダルなどフランス代表として見事な実績を残しているゴベアだが、一方で主要国際大会の頂点に立ったことはない。それだけに今大会にかける思いは強く、「俺はまだ金メダルを持っていない。だから今回が初めて獲得する大会になる」と意気込んだ。
フランスはグループリーグ最終戦でルカ・ドンチッチに47得点を奪われ82-88と敗戦し、グループリーグで2敗を喫するなど決して本調子とはいえない。だが、ここで劣勢を跳ね返して勝利したことは、チームに大きな自信と勢いを与えるはずだ。