シーホース三河の西田優大、『真のエース』に飛躍するシーズン(後編)「この1年で自分がガラッと変わった」

シーホース三河の西田優大、『真のエース』に飛躍するシーズン(後編)「この1年で自分がガラッと変わった」

2022/09/19 17:00
西田優大

スポーツの世界では『有望な若手』が毎年のように出現するが、本当の意味で大成するのは一握り。学生時代に世代のトップであっても、プロの世界に飛び込んでトッププレーヤーと同じステージで活躍し続けるのは簡単ではない。バスケ界でも多くの選手がプロの壁にぶち当たり、気付けば標準レベルの選手に落ち着いてしまうものだが、23歳の西田優大はその壁を乗り越えようとしている。昨シーズンに加入したシーホース三河で日本人エースとなり、トム・ホーバス率いる日本代表でも主力へと定着。だが、彼はまだ満足していない。間もなく開幕するBリーグの新たなシーズンで、好調な歩みのペースをさらに上げるつもりだ。

転機となった言葉「日本人エースはお前なんだぞ」

──昨シーズンはリーグの新人賞を、河村勇輝選手を抑えて受賞しました。昨シーズンの自分自身の出来をどう見ていますか?

ここまでやれるとは最初は思っていなかったです。三河に来て最初は様子見というか、どこまでやっていいのか分からない部分があったんですけど、「お前、どんどんやっていいぞ」というチームメートの声掛けもあって、少しずつマインドが「やっていいんだ」に変わっていって、自信を持てるようになるとプレーにも積極性が出てきました。

それでもチャンピオンシップ進出を逃したのはすごく悔しくて、「あと一歩」と言いながらも実際は最後が惜しかったわけじゃなく、それより前に勝てた試合がたくさんあったのにポロポロ落としてしまったシーズンで、その悔しい思いは忘れていません。

──鈴木貴美一ヘッドコーチ、チームメートの声掛けでメンタルが前向きになっていったという話がありましたが、何か決定的な瞬間みたいなものはあったんですか?

ちゃんとしたタイミングは覚えていませんが、シーズンの最初の方で練習が始まる前に貴美一さんから「最近どうだ」みたいに声を掛けてもらって、その中で「日本人エースはお前なんだぞ」と言われたことです。それまで遠慮していたのが、誰かに言われなくても自分自身で「もっとやっていいんだ」というマインドを持てるようになりました。

西田優大

「1試合1試合の重みを感じられたシーズンだった」

──期待の若手から日本人エースへと心構えが変わって、結果も出るようになったのが昨シーズンでした。新シーズンはどのようなマインドで臨みますか?

昨シーズンの終盤にはチームでの扱いも新人ではなく、試合の最後のクラッチタイムでボールをもらうことが増えて責任も増しました。それはシーズンが進む中でそうなっていったんですけど、今回はこの時期から自分がチームのエースだという自覚を持ちたいです。昨シーズンはクラッチタイムにボールを持たせてもらっても自分が結果を出せたかと言われるとそうではなかったので、エースと呼ばれるのはうれしいんですけど、それに応えるプレーができるように。まずは気持ちの面から、そして技術的なところを磨いていきます。

──それでも1年前に比べれば、自信はかなり持てるようになったのでは?

そうですね。1年前は自信がなかったので。日本代表にしてもフリオ・ラマスさんの時から代表候補で呼んでもらってはいましたが、本メンバーに入れたことは一回もなかったですし、それに対して悔しさを感じながらも「自分はまだだよな」と思う部分もあったりして。

今はそんな気持ちは全然ないですし、この1年で自分がガラッと変わった感じがします。この1年での成長は自分でも感じているところはあります。なんなら上手く行くことの方が多かったので、ちょっと自分でも怖くなるぐらいですね。

──ではあえてネガティブなことを聞きますが、昨シーズンで一番ヘコんだミスは何ですか?

年始の京都ハンナリーズ戦の2試合目で負けたんですけど、最後にダバンテ(ガードナー)とスイッチミスをして、それで得点を決められて負けたんですよ。あれはマジでヘコみました。誰かに言われる前に、やられた瞬間に自分でミスだと分かって、分かっているミスをやってしまっただけに余計ヘコみました。

──ヘコむ失敗もキャリアの中にはあるはずで、今後の糧にしていけるかが大事ですね。

それはもちろんですね。昨シーズン終盤は落とせない試合がずっと続きました。勝てばチャンピオンシップに行けるかもしれない、でも1試合も落とせない状況で、シーズン終盤は身体的なキツさよりメンタル的なキツさ、プレッシャーとかストレスをすごく感じました。でもこれって、勝たなきゃいけないチーム、チャンピオンシップに行かなきゃいけないチームでないと経験できない。そういう1試合1試合の重みを感じられたシーズンだったので、その点ではプラスにとらえています。

西田優大
©SeaHorses MIKAWA co.,LTD.

「 本当のところはまだエースになりきれていないのが今の自分 」

──ルーキーからエースへ、周囲の反応の変化を感じることはありますか?

ファンの皆さんのSNSの反応で、僕のニックネームの『おでんくん』が『おでんさん』に変わったことがあるぐらいですかね。僕はおでんなので、『くん』でも『さん』でも、どっちで呼んでもらってもいいです(笑)。自分で言うのもおかしいですけど『おでんくん』ってカワイイ系じゃないですか。自分に向いていると思うし、皆さんに自分をどんどんアピールしていきたいです。

──今シーズンの三河はどんなチームになりそうですか?

新しいビッグマンも入って来て、物静かというよりは陽気なキャラクターなので、コミュニケーションも取りやすくて自分としてはやりやすいと感じています。チームとしてはこれからですけど、上手くやれると思っています。

──この1年の成長を次の1年にも繋げられたら、本当にすごい選手になれると思います。自分の目指す選手像はどんなものですか?

周りからは三河のエースと言ってもらえていますし、自分でもそうなりたいんですけど、本当のところはまだエースになりきれていないのが今の自分だと思います。昨シーズンのファイナルを見ていて感じたんですけど、比江島(慎)さんは誰がどう見ても宇都宮ブレックスのエースですよね。そしてチームを優勝させました。僕も三河で、そう言ってもらえるようなバスケットボール選手になりたいです。

もう一つは日本代表に選ばれ続けたいという思いがすごく強いです。だからこそ同じポジションに比江島さんや須田(侑太郎)さんが入ってきて危機感をすごく持っています。その意味で他の選手に負けない結果を出すことだったり、ポイントガードの役割もできるようプレーの幅を広げたり、そういう気持ちを持てているのは自分にとってはプラスだと思っています。

──間もなく開幕を迎えますが、ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。

昨シーズンはケガなく最後まで戦い抜くことができました。チームとしてはチャンピオンシップに行くことができず悔しいですけど、僕たちが最後まで戦えたのはブースター、ファンの皆さんの応援があったからこそなので、本当にそこは感謝しています。一緒にチャンピオンシップに行けなかったことを、僕自身もチームのみんなも悔しく思っています。新シーズンはその悔しさを持っているメンバーがたくさんいるので、また皆さんと一緒にチャンピオンシップに出られるように頑張っていきます。今シーズンもシーホース三河の応援を、是非よろしくお願いします。

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