アレクサンダー・ベゼンコフ

ブルガリア代表は大会ワーストの95.0失点でグループリーグ敗退

ブルガリア代表のアレクサンダー・『サシャ』・ベゼンコフは、ユーロバスケットで素晴らしいパフォーマンスを見せた。グループリーグ終了時点で26.8得点はヤニス・アデトクンボに次ぐ2位、12.2リバウンドは大会トップの数字だ。しかし、彼の大会はもう終わっている。

グループリーグ初戦のスペイン戦で87-114で敗れた後の会見で、ベゼンコフはこう語っている。「114点を取られては勝てない。ペイントエリアを支配されて、セカンドチャンスポイントをたくさん取られた。コーチには『ディフェンスが存在しない』と言われたが、実際その通りだと思う。相手にはサイズも技術もあるけど、まず自分たちがファイトしていなかった」

残念ながらチームディフェンスはその後も改善されず。ブルガリアは大会ワーストの数字となる平均95.0失点、5試合で1勝しか挙げられずにグループリーグ敗退を喫した。

それでも、ベゼンコフ個人にとっては世界に対して良いアピールになった。ユーロリーグでオリンピアコスを躍進に導き、オールユーロリーグのファーストチームにも選出されているが、ユーロバスケットではアデトクンボやルカ・ドンチッチと争うことができる実力を証明した。

ベゼンコフは206cmのフォワードで、個人の力よりも周囲との連携でチャンスを生み出し、得点を重ねていく選手。3ポイントラインからカッティングでパスを呼び込むプレーでハンドラーとの呼吸が合うかどうかが大事で、それが合えば大量得点が見込める。ゴール下で相手選手とコンタクトしながら点を取ることもできるが、彼が得意とするのはその外でのミドルジャンパーもしくはフローターで、多彩なフィニッシュを持つためディフェンスする側は動きが読みづらい。

そのベゼンコフは2017年のNBAドラフトでネッツの全体57位指名を受けた。当時バルセロナでプレーしていた彼はアメリカへ渡らず、ここ3シーズンはオリンピアコスでプレーを続けているが、その間に指名権はキャバリアーズへ、そしてキングスへと譲渡されている。

ハンドラーのディアロン・フォックスだけでなくドマンタス・サボニスもプレーメークのできるキングスにベゼンコフは最適の人材に見えるが、ベゼンコフはNBA行きについて「オリンピアコスのためにベストを尽くす。良いコンディションを保って、良いプレーを続けるのが最優先だ。来年の夏までまだ10カ月あるから、まずは自分のやるべきことをやりたい」とコメントしている。

「この結果には満足していないよ。僕たちに実力がないわけじゃないからね」とベゼンコフは言うが、その得点能力がユーロバスケットの決勝トーナメントで見られることはない。それでも、まだ27歳になったばかりのベゼンコフが大きな舞台に挑むチャンスは、今後また訪れるはずだ。