「地域に向き合うことから、世の中の課題を解決する」
10月26日、『バスケット・カウント』を運営する株式会社ティーアンドエスは、大阪エヴェッサ、株式会社日本戸建管理、株式会社CAMPFIREと連携して、『大阪から始まる、スポーツが地域課題を解決するプロジェクト』の立ち上げを発表した。写真は左から日本戸建管理の企画開発室の井上貴博室長、CAMPFIREクロスボーダー事業部の大東洋克部長、大阪エヴェッサの安井直樹代表、ティーアンドエスの稲葉繁樹社長。
プロジェクト名は『A3』(ARCH AID AROUND)。ARCHは「バスケットボールのシュートが描く弧」を、AIDは「手助けする、支援する」、AROUNDは「行き渡る」を意味する。また『A3』は2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)に則り、「持続可能で強靱、そして誰一人取り残さない、経済、社会、環境の統合的向上が実現された未来への先駆者を目指す」というビジョンの実現を目指す。
今回のプロジェクトを主導する株式会社ティーアンドエスは、「ハッピー・スパイラル」がコンセプト。様々なハッピーを作りだして連携させ、好循環を生むことを理念とする。『A3』の意義について稲葉繁樹社長はこう語る。「世の中の課題をスポーツでいかに解決するか、まずは地域の向き合いからもっと強化すべき。大事なのは一発やって終わりではなく、継続的であること。そういう意味で国連が提唱するSDGsの考え方はすごく大事だと考えます。本当の意味でスポーツが地域に貢献して、地域になくてはならないものにしていきたい」
今回はプロバスケットボールクラブの大阪エヴェッサとともに、大阪に目標を定める。台風、地震、大雨での被災。環境破壊や環境保全。少子高齢化による農家の減少。空き家問題など地域の安心安全の向上。医療・福祉の実情。地域が抱える様々な課題を、スポーツを通じた企業連携で解決することを目指していく。
大阪に本社を置く住宅メーカー、株式会社創建のグループ会社で、住宅の維持管理サービス『家ドック』サービスを提供する株式会社日本戸建管理。クラウドファンディングサイト大手の株式会社CAMPFIREも参画する。
ティーアンドエスはプロジェクト全体の企画運用、またバスケット・カウントを使ったメディア協力を行う。日本戸建管理は『家ドック』サービスの活用を始め空き家問題解決、暮らしの安心安全、防災を提供。CAMPFIREは資金が必要な取り組みに対してクラウドファンディングでの資金調達に協力。実際に地域に向き合う大阪エヴェッサを含めた4社が連携することで、大阪という地域性の抱える課題解消を目指す。
「橋本拓哉の活動が、さらに地域と向き合うきっかけに」
大阪エヴェッサの安井直樹代表は『A3』への意気込みをこう語る。「エヴェッサとして地域にもっと向き合うことは以前からの課題だったのですが、具体的にできることは決して多くありませんでした。例えば施設の子供たちを試合に招待するような取り組みはずっとやってきていますが、それが社会貢献としてどれだけ効果があるのか、地域への貢献と言い切れるのか、自問自答する部分がありました。試合を見て元気になってもらうことに意味がないわけではありませんが、そこからもう一歩、二歩と踏み込んで、単発ではなく継続的に取り組んでいくことで、大阪エヴェッサという球団の存在意義が地域により浸透していくのだと考えています。今回、ティーアンドエスの稲葉社長、バスケット・カウントの鈴木編集長からこういうお誘いをいただいてありがたいです」
この夏、大阪エヴェッサは激震に見舞われた。所属選手である橋本拓哉が日本選手団の一員として参加したアジア競技大会の期間中に、開催地であるインドネシアで買春を行っていたことが判明。1年間の出場資格停止処分を受けた橋本は現在、社会奉仕活動への従事を行っている。その活動の中で見えてくるものもあった。児童養護施設に橋本と同行した際のことを安井代表が明かす。
「橋本はコートで皆さんに貢献できない分、地域に何かしら貢献したいということで、施設のお手伝いに行っています。最初に私も同行させていただいたのですが、建物自体が古いことに加えて、特に水回りの設備の老朽化がかなり進んでいて、あまり快適とは言えない状況がありました。ここを我々で解決できないか、と思ったのが今回の取り組みの一つのきっかけになっています。地域の課題はいくらでもあるはずですが、実際に取り組んでみて初めて見えてくることがあるのだと実感しました」
大阪エヴェッサにとって、この夏の不祥事をプラスに変えることは不可能かもしれない。だが、スポーツ球団として地域の課題を解決する上で、一つの気付きを与えてくれるきっかけとなった。今後は4社が共同で、地域課題を解決するロールモデルになることを目指し、活動していく。
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