ヤニス・アデトクンボ

アデトクンボは27得点11リバウンド6アシスト3ブロック

タナシス、ヤニス、コスタスのアデトクンポ3兄弟を擁するギリシャの初戦は、ボーヤン・ボグダノビッチ、ダリオ・サリッチ、イビツァ・ズバッツと各ポジションにNBAプレーヤーを揃える難敵クロアチアでした。ワールドカップ予選のセルビア戦ではヤニスしかフリースローを獲得していないなど個人の突破力に頼り、チームとしての機能性は怪しかったギリシャですが、この試合ではバランスの取れた攻めでヤニスを有効活用しており、大きな進化を感じさせました。

フロアを広く使ってインサイドをヤニスに任せるのは王道の戦略ではありますが、この形でヤニスが起点になると、キックアウトパスを待つチームメートが棒立ちになってしまいがちです。特にクロアチアはズバッツがゴール下で待ち構えているため、オフボールの崩しに乏しい強引なアタックではヤニスと言えども簡単には突破できません。

しかし、ギリシャはヤニスではなくアウトサイドを起点にパスで崩す形を採用し、見事なボールムーブで相手に的を絞らせません。ポイントガードのニック・カレイテスが6アシストで広く展開すれば、タイラー・ドーシーが3ポイントシュート5本成功を含む27得点を稼ぎ、ギリシャは最大19点のリードを奪います。

むしろクロアチアが個人技ベースのオフェンスになっており、アシストは15に留まりました。シュート力の高い選手が多く、3ポイントシュートは37%決まったものの、タフなプルアップシュートも多く苦しい時間帯が続きました。レフリーの判定へも不満を募らせ、選手だけでなくヘッドコーチがテクニカルファウルをコールされるなど、フランストレーションが溜まる試合になります。

迎えた第4クォーター、ギリシャが2桁リードを奪ってそのまま逃げ切るかと思われましたが、ボグダノビッチがポストアップのパワープレーを中心に19得点を奪えば、ポイントガードのジャリーン・スミスがトランジションからの強気なアタックで切り崩しての23得点と一気に追い上げ、残り1分を切って2点差とします。

残り10秒でトランジションアタックから華麗にパスを繋ぎ、コーナーでワイドオープンになったスミスが逆転の3ポイントシュートを放ちますが、これをゴール下にいたはずのヤニスが一気に距離を縮めて指先でブロックに成功します。ヤニスがジャンプした時の後ろ足はペイントのライン近辺にあり、しかもボールはスミスの手から離れていたのですが、ヤニスの異次元のスピードとジャンプ力が、通常ならばあり得ないシチュエーションでのブロックを完成させました。

ヤニスはブロックの勢いでサイドラインの外へと出ていったのですが、すぐに立て直して速攻に走り、今度はペイントの外でファウルされながらも強引にシュートへと持っていき、試合を決定づけるバスケット・カウントを決めたのです。試合の最終局面になっても全く衰えることのない脅威のスタミナと異次元の身体能力を、まざまざと見せ付けるプレーでした。

ヤニスは27得点11リバウンド6アシスト3ブロックと別格の存在感を見せましたが、個人技ではなくチームオフェンスの一部になりながら、しっかりとスタッツを稼いでいることに価値があります。チームとしてアウトサイドから崩すことで、空いたゴール下へ何度もロブパスが出ており、パスの受け手として機能すれば、トランジションで加速してからのキックアウトパスも通しました。代表合流当初とは違い、チームメートとの連携も築き上げられ、戦術と個人能力が融合した見事な初戦になりました。