強烈なリーダーシップを持つ2人の戦い
MVP候補に名前が上がるサンダーのラッセル・ウェストブルックとロケッツのジェームズ・ハーデン。当時サンダーに所属していたハーデンがシックスマン賞を獲得し、クラブとしてNBAファイナル初進出を果たした2011年から5年が経ち、2人はそれぞれのチームの『顔』へと成長した。
序盤はサンダーが素早いトランジションから得点を量産し19-6のランを見せる。だがロケッツの3ポイントシュートが高確率で決まり始めると、試合は一進一退の攻防に。前半はサンダーが65-63とわずかにリードして折り返すも、後半にウェストブルックがタイムシェアでベンチに退いている間に、ハーデンのピック&ロールからのオフェンスが効果的に決まったロケッツに逆転され、85-90とビハインドを背負って3クォーターを終えた。
これまでハイペースで点を取り合っていたを両チームだが、第4クォーター中盤から粘り強いディフェンス合戦へと展開が変わっていった。
ロケッツは時間が進むにつれてハーデンがボールを保持する時間が長くなる。好調時の流動的なパスワークは影を潜め、苦し紛れのシュートが多くなる。サンダーはハーデンのオフェンスに対応しタフショットを打たせロケッツの攻撃をシャットアウトする。
残り3分、サンダーはこの日シュートタッチが好調のヴィクター・オラディポが3ポイントシュートを沈め同点に追いつくと、残り1分43秒、ハーデンのマークを外したアンドレ・ロバーソンがウェストブルックとのアリウープを決めて102-100とついに逆転。
そして最後はウェストブルック。サンダーが3点リードした残り7秒の場面。ファールゲームを狙うロケッツのディフェンスを振り切ったウェストブルックが、豪快にリバースハンドのダンクを決めて試合を決めた。
終盤に露呈したロケッツの課題
サンダーはウェストブルックが30得点、オラディポが29得点と、バックコート陣の能力の高さを見せつけた。
ロケッツは先発5人を含む7人が2桁得点を記録し、バランスの良いオフェンスを展開していたが、チームの中心であるハーデンの球離れが悪くなるとシュートが決まらなくなり、攻守ともにリズムが悪くなった。
得点とアシストを量産する攻撃的ガードのウェストブルックとハーデン。リーグを代表する2人の対決は、試合終盤の勝負どころでの両者のパフォーマンスで明暗が分かれた。最後の6分半は11-3とサンダーが圧倒。試合全体を通して見ればサンダーの辛勝だが、両エースの対決という視点ではウェストブルックの完勝だった。
もっとも、両エースのスタッツはいずれもMVP級、個人としては十分すぎるほどの数字。今後どれだけチームを勝たせられるかが重要だ。今後のMVP争いにも目が離せない。