馬場雄大

文=泉誠一 写真=野口岳彦

学生時代からダンクで魅了したスターの素質

来年1月、富山にて開催される『B.LEAGUE ALL-STAR GAME 2019』(以下オールスター)の概要が発表された。華々しく始まったBリーグも2シーズンを経たが、リーグを代表するスター選手は誰か? 開幕前からそんなことを考えていたが、どうも顔が浮かばない。各クラブを代表する『オラが街のヒーロー』はそれぞれいる。しかし、Bリーグとともに知名度を上げ、全国区のスターとして名を轟かせている選手となると一体誰になるのだろうか──

昨シーズンのオールスターで最高得票数を獲得したのは、アルバルク東京の馬場雄大だった。残念ながら元日ゲームで負傷したことでコートに立つことはできなかった。今シーズンのオールスター開催地はその馬場が生まれ育った富山県。否が応でも注目度は高くなるはずだ。活躍次第では、一気に全国区のスターダムにのし上がる可能性だってある。

初めて馬場のプレーを見たのは、彼が15歳の時。あどけない表情の中学生が、果敢にダンクに行く姿にマイケル・ジョーダンがオーバーラップする。U16やU18日本代表として活躍していた馬場だったが、元日本代表の父、敏晴がコーチを務める富山第一高校は全国区ではなかった。良いか悪いか、高校スポーツは国際大会の成績よりも、日本一を決める大会での活躍の方が注目を浴びやすい。ゆえに全国の舞台に上がって来なければ、馬場の存在が知られないまま終わっていたかもしれない。たった3年しかない猶予の中で、2年次にチームを全国へと引き上げ、見事に期待に応えてみせた。

U18日本代表でともに戦った1年上の渡邊雄太がアメリカへ渡り、馬場も続くのではないかと周囲が勝手に騒がしくなる。しかしトップリーグで活躍した父は、この世界の厳しさを熟知している。その当時はBリーグもなかった。バスケに人生を懸けるのであれば、引退後に路頭に迷わないよう、資格を取ることを息子に課した。父との約束を果たすため、筑波大学へ進む。

1年目から馬場の代名詞となるダンクで観客を魅了しながら、3年連続日本一の原動力として活躍。最後の大会となった4年次の春に行われた関東大学トーナメントを制し、有終の美を飾ったのはさすがである。ルカ・パヴィチェヴィッチが率いていた日本代表でも頭角を現し、今度は卒業後の去就が話題となり始めていた。教員免許の資格取得に目処が立った馬場が、大学に通いながらプロ選手になる道を選択したのはご存じのとおり。インパクトを残した昨シーズンは、新人王を受賞した。これらのストーリーもまた、スターには欠かせない。

プロ野球のファン投票と比較し、馬場雄大は1/52程度

オールスターに話題を戻す。最高得票数を獲得した馬場は11,927票だった。この数字をどう感じるだろうか。その前年のBリーグ元年はディアンテ・ギャレット(元アルバルク東京)が13,713票を獲得しており、最多得票数は落ち込んでいる事実がある。

比較対象として、プロ野球オールスターを見てみよう。最多得票数は柳田悠岐(ソフトバンクホークス)の619,150票であり、馬場の約52倍だ。以下の通り、総得票数から大きな差がある。

総得票数
Bリーグ(オールスター2018):1,376,532票
プロ野球(オールスター2018):28,057,157票

スタジアムとアリーナのキャパシティの違いとともに、集客数に大きな開きがあるのでスタートラインがそもそも違う。

集客数
Bリーグ(2017-18):240万人(平均2,223人)
プロ野球(2018):2,560万人(平均29,779人)

計算が苦手な筆者であり、もっと正確な算出方法もあると思うが、平均入場者数×チーム数(昨シーズンはB1とB2が対象であったため36チーム)×投票期間日数でおおよその見込み投票数が分かるのではないか。

Bリーグ(2017-18):平均2,223人 x 36チーム x 投票期間32日間=2,560,896票
プロ野球(2018):平均29,779人 x 12チーム x 投票期間27日=9,648,396票

会場に来た方が毎日欠かさず投票したと仮定し、Bリーグは256万票が見込めると予想。それに対し、昨シーズンの実績は138万票で、約半分の結果は上々というのが率直な感想である。B1の18チームだけで計算すれば128万票となり、ほぼ見込みどおりだった。しかし、プロ野球は違う。仮定した965万票の3倍近い2800万票を獲得している。この数字はアメリカMLBのオールスターの3320万票にも迫る勢いであり、さらに驚かされた。

そんなMLBよりも我らがNBAの方が1000万票以上多い。昨シーズンのオールスターは4,500万票を数える。もちろんMLBのスタジアムは大きく、平均入場者数も比例してMLBの方が多い。それでもファン投票で勝ったNBAの結果を見れば、キャパシティの違いは言い訳にすぎない。

すでにWリーグは投票開始、スター創造へ清き一票を!

今シーズン、ファン投票数はどれくらい伸びるだろうか。投票結果は選手だけではなく、その総数はBリーグ自体の支持率とも言える。3年目は倍増させる勢いで投票数を集め、Bリーグ人気の確固たる証を残してほしい。

ファン投票は11月1日から始まり、25日までが受付期間だ。その後にさらに各チーム1名ずつを決めるSNS投票があるが、きっと馬場の出場はその前に決まるだろう。願わくば、11月30日と12月3日に富山で行われる日本代表戦まで投票を引っ張ってくれれば、そこでの活躍も含めて得票数が伸びたかもしれない。

12月29日に大田区総合体育館で開催される『Denka presents Wリーグオールスター 2018-19 in TOKYO』へ向けた投票はすでに始まっている。Wリーグは一人1日5回まで投票が可能だ。

バスケ界発展のため、全国区のスター選手を創造するため、ぜひ清き一票を!

B.LEAGUE ALL-STAR GAME 2019 TOYAMA
Wリーグオールスター 2018-19 in TOKYO