持ち味のドライブに加えて、3ポイントシュートに磨きをかける
バスケットボール男子日本代表は、イラン代表を迎えた国際強化試合の第1戦を82-77で勝利した。
この試合でトム・ホーバス体制となって初めて日本代表としてコートに立った馬場雄大は、チーム2番目となる19得点と4リバウンド4アシスト3スティールを記録。持ち前の強気なドライブにフィジカルの強さ、そして身体能力を生かしたディフェンスで、久しぶりの代表戦ではあったが『馬場らしさ』を見せたゲーム内容となった。
ただ、ホーバスヘッドコーチはチーム全員に3ポイントシュートを求めている。大会前の会見では馬場自身も「ホーバス監督から、10本攻められるなら7本は3ポイントシュートで、3本をドライブやパスの意識を持つようにと言われています」と明かし、「今までにないくらいスリーのアテンプトが増えていくと思います」と語っていた。
実際にこの試合での馬場は3ポイントシュートを5本放ち、そのうち2本を成功させた。特にこの2本は、イランに追い詰められた後半の苦しい時間帯に決めたシュートで得点以上のインパクトがあった。それでも、試合の全体的な印象からすると、今まで通りボールを持ったらリングにアタックするシーンが多かったことは否めない。
ホーバスヘッドコーチは「馬場選手はキャッチする時に、いつもドライブがあるじゃないですか。それは彼の特別なプレーだから止めたくはないです」と言う。そして、長らくやってきたプレースタイルを変えることは簡単ではないと理解を示しつつも、「やっぱりもうちょっと3ポイントシュートのキャッチ&シュートの考え方はやってほしい」と続けた。
「彼はもう26歳だから20年以上力強いドライビングバスケをやっている。だからマインドは簡単にチェンジできないけど、私はしつこく言います。チャンスがあれば打った方が良いと思う。それはチームのために間違いないです。それと、彼のためにも。彼の目標はNBA選手だから、今のドライビングばっかりであの身長ではNBAに入れない。でも、40%以上の3ポイントシュートがあるんだったら、絶対にチャンスがあります」
馬場自身も「ゲーム中に3ポイントシュートを躊躇して、監督の方を見たら『打て』と言っていたケースがあったり、もう何本かは良い形で打てたかなとは思っています」と振り返る。「良いショットを6本や8本ぐらい積極的に打って高確率に決めないと、個人的に次のステップはないと考えているので、このバスケは自分にとって良い機会だと思います」
そして、ホーバスヘッドコーチが「悪くはないです。ステップバイステップ。少しずつ変わります」と今日の馬場のプレーを見て今後への期待を募らせれば、馬場自身もこう語った。「すぐに変えられるかどうかは分からないですけど、トライすることが大切だと思います。毎試合でちょっとずつでも自分のスタイルを変えていけたらと思います」
ホーバスヘッドコーチと馬場が言うように、今まで貫いてきたスタイルを変えることは簡単ではない。それでも、馬場はこの試合で、ボールを持ってすぐにアタックするのではなく、一度シュートフェイクを入れてから、次のプレーに移るなど、変化の片鱗が見られた。そして、今以上に3ポイントシュートを確率良く決められるようになれば、自ずとそのドライブも生きてくるだけに、馬場の挑戦に期待したい。