「セルビアはバスケが好きなわけじゃなく、勝つことが好き」
ニコラ・ヨキッチは2シーズン連続のMVP受賞を果たし、ナゲッツと複数年の延長契約を結んだ。地元でしばし心身を休めた後、彼はセルビア代表のためにプレーすることを決めた。
ヨキッチは代表チームと強い結び付きがある。2016年のリオオリンピック出場を懸けたOQT(世界最終予選)で、当時21歳の彼はMVPを獲得する活躍で出場権獲得に貢献。セルビアはリオで快進撃を見せ、ファイナルでアメリカに敗れたものの銀メダルを獲得した。3年後のワールドカップでもヨキッチはエースとして活躍。ベスト8進出に貢献している。
しかし、セルビア代表は2021年の東京オリンピックには出場していない。OQTでイタリアに敗れ、出場権を逃したからだ。ヨキッチはOQT出場を望みながらも、「休養を優先するように」とのナゲッツの意向を受け入れてOQTを仲間に託したのだが、本大会出場はかなわなかった。
そして今夏、ジャマール・マレーやマイケル・ポーターJr.をケガで欠くチームを一人で引っ張り、2年連続でMVPを獲得したシーズンを経て、彼は強い決意とともに代表合宿に合流した。
セルビア代表は8月25日にギリシャと、28日にトルコとワールドカップ予選を戦う。これは本大会出場を懸けた重要な試合だが、その後には9月2日開幕のユーロバスケットも控えている。
ヨキッチは言う。「前回のオリンピックでプレーできなかったから、まずはワールドカップ出場を決めるのが目的だ。主要な大会には出場し続けなければいけない。前の世代が残してくれたものを続けていく必要がある。それからユーロバスケットだね。どのチームもメダルを取りに来る。だから僕たちも毎日の練習を積み重ね、注意深くチームを作っていく。ライバルを上回るための準備をするんだ」
出場を逃した東京オリンピックの分まで勝つことを、セルビアのファンは求めている。プレッシャーは大きいが、ヨキッチに言わせればそれは当たり前のことらしい。
「それがセルビアの考え方だからね。バスケットボールやスポーツが好きなわけじゃなく、勝つことが好きなんだ」
サンダーはアレクセイ・ポクシェフスキーに、ヒートはルーキーのニコラ・ヨビッチに、セルビア代表への参加を認めなかった。すべてのタレントが招集できたわけではないが、ヨキッチがいる時点でセルビア代表のタレントレベルはヨーロッパトップクラスだ。それでも彼らは、去年のOQTでタレントレベルでは大きく上回っていたにもかかわらず、チームとしての完成度が高いイタリアに完敗を喫したことを忘れてはいない。これからワールドカップ予選、ユーロバスケットまで、ヨキッチが言うように日々の練習を大事にして、チームを作っていくはずだ。