ジェイレン・ブランソン

フリーエージェントとの交渉解禁を前に契約をまとめる?

ニックスは今オフのフリーエージェント市場における注目選手の一人、ジェイレン・ブランソンと4年1億1000万ドル(約150億円)の契約を交わした。ところが、フリーエージェント市場が開く6月30日より前にブランソンと交渉したタンパリングの疑いで、NBAの調査が始まったと『Yahoo Sports』が報じている。

ニックスが定められた期間の前からブランソンとの契約を決めていたのは周知の事実だ。例年、フリーエージェントとの契約期間が始まった途端に、多くの選手の契約がメディアに報じられる。『6月30日の18時』は交渉を始める時期ではなく、契約を発表できるタイミングだ、というのが関係者の共通認識だった。

ニックスにとってニュージャージー州出身のブランソンは地元選手。マーベリックスがサラリーキャップの関係で良いオファーを出せない状況で、ナーレンズ・ノエル、アレック・バークを放出してキャップスペースを作り、ブランソン獲得の準備を整えた。

ニックスはそれ以前に、ブランソンの父親であるリック・ブランソンをアシスタントコーチとして迎え入れてもいる。ニックスで球団社長を務めるレオン・ローズにとって、リックはエージェントになって最初に担当した選手の一人。ジェイレンにしても、レオンの息子であるサム・ローズがエージェントを務めている。フリーエージェントになったブランソンがニックスを選ぶのは自然な流れ、という状況が出来上がっていた。

いずれにせよ、ブランソンはマブスとの交渉を一度も行うことなく、フリーエージェントの移籍ウィンドウが開くと同時にニックスの選手となった。『Yahoo Sports』はブランソン側の証言として、ジェイレンが望むようなオファーは一つしかなく、ニックスとだけ交渉して契約に至った、と報じている。

ブランソンはマブスで4シーズンプレー。最初の3年は同期入団のドンチッチのバックアップガードだったが、昨シーズンはティム・ハーダウェイJr.の長期欠場もあって61試合に先発し、平均16.3得点、3.7アシストを記録。特にプレーオフでは、ジャズ、サンズ、ウォリアーズを相手に21.6得点、3.0アシストとスタッツを伸ばし、評価を高めていた。

そのブランソンの獲得は今オフのニックスにとって非常に良いニュースだったのだが、タンパリング調査でケチが付いた形だ。今オフにはセブンティシクサーズも、ジェームズ・ハーデンの契約を巡りNBAの調査を受けている。

NBAは近年になって契約交渉違反への監視を強化しており、昨年オフにはブルズとヒートにドラフト2巡目指名権の剥奪というペナルティを科している。今回のニックス、シクサーズへの調査の行く末を、どのチームも注視している。