渡邊雄太

ローテとカバーを繰り返すウォリアーズに適性アリ

NBAの新シーズン開幕まであと2カ月、2年間を過ごしたラプターズとの契約が満了となった渡邊雄太の去就がいまだ決まりません。日本のファンはアジアカップでのパフォーマンスを楽しみながらも、NBAでの契約がまとまらないことでヤキモキするオフとなっています。

有望な若手が世界中から集まるNBAで生き残ることは簡単ではなく、スター選手ですらチームの方針転換により放出される厳しい世界でもあります。そんなNBAでオファーを得るには、自分のプレースタイルがチームにフィットすると認められることが大事です。

渡邊の武器はリバウンドや速攻に絡む献身性と運動量、複数のポジションを守れるディフェンス能力ですが、ガード相手のディフェンスには課題があり、これまで通りビッグマン寄りのウイングとしての起用が基本です。それでいてフィジカルな戦いには適しておらず、密集するインサイドでは強みが出せないため、ハーフコートではなくトランジションを中心にした戦い方で、全員がローテーションとカバーを繰り返すディフェンスシステムでこそ力を発揮します。

すでに多くのチームがロスター枠を埋める中で、渡邊を欲しがるチームはどこになるでしょうか。いくつか候補がある中で、その一番手はウォリアーズだと考えます。

トランジション中心、ローテーションとカバーで守るディフェンスがウォリアーズの特徴であり、これまでもマイカル・モルダーやアルフォンソ・マッキーニー、そしてホワン・トスカーノ・アンダーソンなど、他のチームでは試合に出ることの難しいレベルの選手でも、「運動量」や「オールラウンドなディフェンス能力」、「トランジション適性」といった持ち味に目を付けてロスターに加え、戦力として活用してきました。

長いシーズンで主力の負担を軽減すべく、ベンチメンバーの人数を揃えることもウォリアーズの特徴ですが、今オフはセカンドユニットの流出が目立ちます。サラリーキャップが苦しい中でケボン・ルーニーの残留を優先させましたが、ゲイリー・ペイトン2世、デイミオン・リー、オットー・ポーターJr.、ネマニャ・ビエリツァ、トスカーノ・アンダーソンが移籍を選んでおり、ベンチはNBAキャリア3年目までの若手ばかりになっています。

能力が同じなら若い選手を選ぶのがセオリーですが、すでに若手が多すぎる編成になっており、連覇を目指すチームとしては将来性よりも安定感のあるベテランの補強が求められます。渡邊は「27歳の中堅選手」ながら「ミニマムレベルのサラリー」で契約できるウイングであり、ウォリアーズにとって良い条件が揃っています。

渡邊雄太

マルチなウイング、サポートの役割で違いを生み出せるか

スイッチとローテの多いディフェンスシステムを採用するウォリアーズでは、リムプロテクト力の高いビッグマンよりも、より広いスペースを埋める運動量が重視され、リバウンドからボールを運ぶことができ、速攻の先頭を走ることもできるウイングとして、渡邊のプレースタイルは評価されるでしょう。

ただ、ウイングだと2年目のジョナサン・クミンガとモーゼス・ムーディーにかかる期待は大きく、渡邊の実績と経験では「安定感のあるベテラン」とは見なされないかもしれません。オットー・ポーターJr.がやっていたように執拗にスクリーンを繰り返すサポート役としての貢献で若手との違いを生み出すことが求められます。

ケビン・デュラントにトレードの可能性がある中で、リーグ全体で補強が停滞する『様子見』が続いています。ウォリアーズはセカンドユニットの戦力が足りない状況ですが、ロスター枠はトレードにおける貴重なアセットでもあり、あえて埋めないチームもあります。特にウォリアーズは開幕時点でロスター枠を残しておく戦略を続けており、慌てる様子はありません。

ジャパンゲームでウォリアーズの一員として来日し、開幕ロスター入りとなれば最善のシナリオですが、好ましい条件がいくつか揃ったとしても、このロスターに割って入るのは簡単ではありません。

開幕までに契約が決まらなくても、マルチなウイングの需要は高く、ケガ人が出たチームから呼ばれる可能性は十分にあります。ファンとしてはヤキモキする時期が続きますが、彼自身は契約があってもなくても、常にトレーニングを欠かさず、万全の準備をすることでしょう。大学時代から現在まで毎シーズン成長し続ける渡邊がNBA王者ウォリアーズの目に留まるのかどうか、可能性の一つとして期待したいところです。