千葉と互角に渡り合い、チームに手応え
昨夏に10年間所属したアイシン(現シーホース三河)を退団し、名古屋ダイヤモンドドルフィンズへ移籍した柏木真介は、次なる戦いの場を新潟アルビレックスBBへと移した。
日本代表にも選出され、新人王やリーグMVP、オールジャパン優勝やベスト5など、数々の輝かしい栄光を手にしてきた柏木だが、3シーズン前からプレータイムが減り、昨シーズンではキャリア最少となる平均11分の出場に留まった。
だが、新潟で迎えた今シーズンは開幕から7試合すべてに先発し、平均約28分間出場している。「プレータイムとかスタメンっていう部分はあまり気にはしてなかったですけど、やっぱりチーム事情でそう求められているので、しっかりと対応できるように準備はしてます」とプレータイムが大幅に増加しても顔色は変わらない。
タイムシェア最盛の現在、28分間というプレータイムはリーグ全体と比較しても長い部類に入る。昨シーズンから2倍以上に伸びている柏木には、とりわけ長く感じられるだろう。本人も「30分近く出るのは何年ぶりか分からないですし、最初はキツかったです」と認めるが、「試合をやるにつれて身体も慣れてきましたし、体力的な部分ではあまり気にならないです」と36歳とは思えない前向きな言葉が聞けた。
先週末の千葉ジェッツとの試合では第1戦で8得点6アシスト、第2戦では17得点を記録するなど調子を上げている。ともに8点差以内の惜敗となったが、「結果は負けたんですけど、千葉を相手にしても、やれるという感覚をつかんだんじゃないかな」とチームに手応えを感じてもいる。
「プレーヤーとして、戦力としてここに来てもらいました」
このところプレータイムを減らしていたのは、36歳のベテランとしての役割の変化という側面もある。メンターとして、これまで培ってきた経験を伝え、若手育成の一助を担ってほしいというチーム側の思惑もあるだろう。
だが、新潟の庄司和広ヘッドコーチはバックアップではなくメンターでもなく、プレーヤーとしての柏木を評価して迎え入れた。「復活したわけではなく、彼は何も変わっていません。もともと持っている自分の力をここで示してくれている。彼に経験を求めているのではなく、プレーヤーとして、戦力としてここに来てもらいました」
新潟には絶対的なポイントガードの五十嵐圭がいるため、柏木は現在2番ポジションでプレーしている。「まだまだ探り探りやっている状況」と本人は言うものの、「毎試合何をしたらいいのかということを見つけながら、状況に応じてプレーするようにしています。得点に絡むのか、周りを生かすのか、ポイントガードを支えてあげるのか。そういった役割はまだまだたくさんあるので、そこはゲームによって対応できるようにやっていきたい」とベテランらしく、明確な目的を持って試合に臨んでいる。
そして「僕自身、チャレンジするつもりで移籍してきた」という柏木の目標は、チャンピオンシップ進出だ。「チャンピオンシップ出場圏内にいながら行けなかったりっていうのを、敵ながら見ていました。チャンピオンシップに出ることで新潟も盛り上がると思うし、チームとしても一つ上のレベルに行けると思っています。その手助けをしたいということで新潟に来ているので、まずはチャンピオンシップ出場を目標に、そしてチャンピオンシップに出場できればその先は自分たち次第でワンチャンスあると思うので。まずはチャンピオンシップ出場に向けて、しっかりとチームの力になりたいです」
キャリア15年目にしてシューティングガードという新たなチャレンジにも取り組んでいる柏木。その老獪なテクニックで新潟をチャンピオンシップに導き、その先にある栄光を手にできるか。柏木のチャレンジはまだ始まったばかりだ。
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