張本天傑

「いかにチームを循環させるか。それをコートでやるだけ」

バスケットボール男子日本代表は『アジアカップ2022』のグループラウンド最終戦でイランと対戦し76-88で敗れた。

イランは確実にミスマッチを突き、連携の取れたチームオフェンスを見せるなど、チームの完成度で日本を上回っていた。指揮官のトム・ホーバスも「イランは長い間一緒にプレーしているチームで、日本のオフェンスに対して相手には答えがありました」と、それを認めた。

シリア戦で51.9%の高確率を誇った3ポイントシュートは、33本中11本の成功(33%)に終わった。ただ、ドライブとキックアウトを繰り返しノーマークを作っていたシリア戦とは違い、シュートに行くまでの過程が決して良くなかったことを考えれば、この確率は及第点と呼べるかもしれない。

ノーマークが作れなかった原因はペイントタッチの少なさに尽きる。フィジカルと高さで上回るイランの厚い守りに対し、日本は渡邊雄太しか打開ができなかった。代表経験の豊富な張本天傑は冷静に今回の敗戦を分析する。「チームとして雄太に負担をかけてしまいました。彼を助けて、均等にアタックしないといけません。相手がスイッチディフェンスをしてきた時にどうやって攻めるかも問題です。シュートが入る時は勢いに乗って強いですが、3ポイントシュートの確率が下がってしまうと難しいゲームになる傾向があります」

自分の持ち味を発揮できない選手が多かった中、張本はミスマッチを突いて得点し、豪快なブロックショットを見舞うなど見せ場を作った。目立った数字を残しているわけではないが、これまでの試合でも役割をしっかり果たしており、ホーバスコーチも「張本はずっと良いプレーをしている」と名指しで称賛した。

張本は「やるべきことが明確で、自分自身も役割を分かっているので」と、安定したパフォーマンスができる理由を明かした。「ずっと代表に呼んでもらっていますし、いかにチームを循環させるか。それをコートでやるだけです。身体を張って、リバウンドと3ポイントシュートを全力でやる。シンプルですけど、それが僕がチームにいる理由です」

日本はフィジカル差を露呈し、218cmのハメド・ハダディの高さに苦戦するなど、張本も「インサイドは相手のほうが有利だった」と認めた。しかし、張本個人の印象としては「特にフィジカルが強いと感じることはなかった」と言う。「1対1でやられる場面も一回くらいしかなかったです。彼(ハダディ)はパスが上手い選手で、ウイングのカットを抑えたかった。フィジカルは向こうのほうが勝っているかもしれないですが、まったく歯が立たないわけじゃない」

どんな場面でも自分の強みを発揮できる選手ほど、頼りになる存在はいない。決勝トーナメントでは百戦錬磨の張本の出番が増えそうだ。