「最高のチームと組織が僕を信じてサポートしてくれた」
2022-23シーズンでNBAキャリア6シーズン目を迎える28歳のアレックス・カルーソは、努力の末にNBAで最も優れたロールプレーヤーの一人として地位を確立した。
カルーソは2016年のNBAドラフトにエントリーするも指名されず、Gリーグからキャリアをスタートさせた苦労人だ。2017年にレイカーズと2ウェイ契約を結び、2019年に実力を認められて本契約を勝ち取ると、2019-20シーズンにはレイカーズのNBA優勝に貢献した。とりわけ秀でたスタッツを残す選手ではないが、バスケットIQが高く、ディフェンスやオフボールの動き、味方を生かすプレーでチームファーストを体現。そのため、チームメートやコーチ陣からの信頼も厚く、レブロン・ジェームズからも絶大な信頼を得ていた。
2021年夏にフリーエージェントになった彼は、ブルズへの移籍を決断した。もともと彼は2ウェイ契約から自分を引き上げたレイカーズに恩義を感じており、再契約を結んで残留するつもりだった。しかし、魅力的な契約は提示されなかったと当時明かしていた。
そして、新天地ブルズでの1年目を終えた彼は『Heavy.com』の取材で、昨シーズンを振り返るとともに、古巣レイカーズについても触れた。カルーソは「彼らのうちの何人かとは今も連絡を取り合っている」と4シーズン在籍したレイカーズ時代の仲間との関係を語った。「カイル(クーズマ)とはゴルフやバスケのこととか、たわいもない話をよくしているよ。僕たちは素晴らしい関係性にあるからね。KCP(ケンテイビアス・コルドウェル・ポープ)、レブロンとはSNSを通じてコンタクトを取っているし、ダニー・グリーン、ドワイト(ハワード)とも時々連絡を取り合っている。僕たちは素晴らしいケミストリーを得ていたんだ」
そしてカルーソは、プレーイン・トーナメントすら進出できなかった昨シーズンのレイカーズについて、こう振り返った。「彼らはターンオーバーが多かった。そうなった時、プロスポーツの世界ではケミストリーを再構築しなければいけないし、継続性を見直す必要がある。それは見落としたらいけない部分。このプロの世界には『優秀な選手をたくさんコートに立たせればなんとかなる』と思っている人たちがいるようだ。でも、彼らを上手くまとめて機能させるには、時間が必要なんだ。昨シーズンのレイカーズは、そういうことを経験したと思う」
古巣レイカーズが苦戦した一方で、カルーソは新天地ブルズでキャリア最長となるプレータイム(平均28.0分)を獲得し、ブルズにとって2017年以来となるプレーオフ進出に貢献した。カルーソは「僕にとって素晴らしい結果になった」と昨シーズンについて、そして移籍を決断したことが間違いではなかったと続けた。「しっかりお金も手に入れたし、最高の機会を得た。最高のチームと組織が僕を信じてサポートしてくれた。僕が一番上手くプレーできる方法で、バスケットをする機会を与えてくれたんだ。これは何事にも変えられない」
カルーソが金銭面に触れたように、昨夏に彼がレイカーズから受けたオファーは『2年1500万ドル』(約20億7700万円)より低かったことを、JJ・レディックのポッドキャストに出演した際に明かしていた。また、ブルズから4年3600万ドル(約49億8500万円)でオファーを受けて、レイカーズに『3年3000万ドル』で交渉を持ちかけたが、これも蹴られたと語っていた。
そして彼はプレー面だけでなく、精神的にも変化が見られたと言う。「バスケットボールに対する責任やリーダーシップが、今までの自分より少し増えたと思う。僕にとっては成長すること、より良いプレーヤーになることがすべてなんだ。去年より今年、先月より今月とね。だから、新しい環境に身を置くことで、その力を発揮できるようになった」
飛躍した昨シーズンを送ったブルズが、2022-23シーズンはどんなシーズンを送るのか。そして、カルーソがどんなプレーでブルズの勝利に貢献していくのか注目だ。