終盤の猛追で優勝候補の日本体育大を追い詰めるもあと一歩及ばず
全日本大学新人戦(プレ大会)は7月8日に男子の準決勝が行われた。今大会の台風の目となっている中京大が日本体育大と対戦し、最後まで食い下がったが惜しくも67-73で敗れた。
男子大学バスケットボール界は、高校時代に全国で活躍した選手が集中する関東大学リーグの一強状態が長らく続いている。しかし、中京大は前日のグループリーグ最終戦で大学界随一のタレント集団である筑波大に勝利し、グループ1位が進出できる準決勝に駒を進めた。そして直近で行われた関東大学リーグ新人戦を制しており、優勝候補筆頭と言える日体大を相手にも、試合序盤に2-12と先制パンチを食らうが、そこからすぐに盛り返し五分で第1クォーターを終えた。第2クォーター以降は、ジャンピエール・ムトンボがゴール下に君臨する相手の高さに苦しみ、リバウンドで後手となることでトランジションを許す場面が多くなり、第4クォーター残り7分弱で14点ビハインドと苦しい展開に。
だが、ここで共にU22日本代表候補に名を連ねる1年生ポイントガードの高橋快成、2年生シューターの中野友都を軸に追い上げると、残り1分を切って2点差にまで肉薄。残り2秒、中野が決まれば逆転となる3ポイントシュートを狙うが惜しくも外れ、その後はファウルゲームに持ち込むもあと一歩で届かなかった。
中京大の高橋は20得点8リバウンド5アシスト3スティールと攻守に渡ってチームを牽引した。「スカウティング通りにやれたところもありましたが、やれていない時間帯が長かったです。ディフェンスをハードにというチームの約束がありますが、相手のトランジションに対してのディフェンスのピックアップが遅れてしまうなど、もっと良いディフェンスができたと思います」
「こういう試合をしっかり勝てるように準備をしていきたいと思います」
高橋は見事なスタッツを残したが、自身のパフォーマンスについても「全然出し切れていないです。もっとできたと思います。他の選手で攻められていない時に自分でアタックできたのは良かったです。ただ、もっと良い判断をして良い点数の取り方をしたり、より良いディフェンスができたと思います」と、悔いが残っている。
昨日の筑波大からの勝利に加え、今日は日本体育大と激闘を演じた。冒頭で触れたように2試合続けて関東の強豪と渡り合えたのは、周囲から見れば大きな躍進と言えるものだが、高橋は「相手が関東だからと意識したことはないです。昨日は昨日、今日も勝ち切らないといけない試合でした。そこは自分たちの実力不足で、こういう試合をしっかり勝てるように準備をしていきたいと思います」と語るのみ。
彼にとっては、あくまで同世代の相手に負けて悔しいという感情しかないが、それもここまでの歩みを見れば当然と言える。富田高(岐阜)で出場した昨年のウインターカップ2回戦の明徳義塾戦で24得点14リバウンド10アシストのトリプル・ダブルを達成して話題となり、高校2年、3年と地元のB3岐阜スゥープスに特別指定でプレーした。今年の1月15日は、B3王者の長崎ヴェルカ相手に約14分の出場で9得点3アシストも記録と申し分ない実績を残している。
インカレで関東以外が最後にベスト4に入ったのは2012年の近畿大となる。もちろん今大会は4年生に参加資格がなくベストチームによる戦いではないが、それでも中京大が今後に注目せざるを得ないチームであることは証明された。そして、その中心には高橋がいる。まずは明日の3位決定戦に勝って有終の美を飾れるか見てみたい。