「プレータイムは自ら勝ち取らなきゃいけないのが大前提」
バスケ男子日本代表は7月1日に始まるワールドカップ2023アジア地区予選Window3に臨む。
指揮官のトム・ホーバスは新たな日本のスタイルにフィットする人材を探しており、ロスターを固定させず多くの選手にチャンスを与えている。それはWindow1、2とこれまでに4試合を消化したが、そのすべてに出場しているのがルーク・エヴァンスと西田優大しかいないことを見ても明らかだろう。そして、そのチャンスで結果を残した選手には積極的にプレータイムを与えている。
Window2で最もインパクトを残した選手の一人が谷口大智だ。谷口は201cm105kgのビッグマンで、今回のメンバーの中では古川孝敏に次ぐ、チームで2番目の年長者だ。前回のWindow2に向けた合宿は2017年1月以来の代表招集となったが、チャイニーズ・タイペイ戦で35分、オーストラリア戦で15分の出場と爪痕を残した。
谷口は「2度目の代表合宿で、前回よりはリラックスしながら良い緊張感を持ってできていると思う」と合宿への手応えを語ったが、やはり結果を残したことで見えている景色が違うと言う。「前回よりもシステムの理解が深くできています。いろいろなプレーがある中で、正しい選択が前回よりもできていると思います。自分の役割もですし、今回はチームメートの役割を考える余裕が少しできていて、例えば富永(啓生)選手に今ダウンスクリーンをかけたらシュートが打てるだろうとか、アクションに対して次にどう動けばいいかまで頭に入るようになりました」
「空いた時に思い切って3ポイントシュートを打つことが一番の役割」と語ったように、谷口は『ストレッチ4』の先駆け的存在として、以前からそのプレースタイルを確立していた。それでも、現在のBリーグで日本人ビッグマンの出番は限られており、谷口もその例に漏れない。後半戦に外国籍選手の負傷者が出たことで今シーズンの平均プレータイムは9.0分まで伸びたが、合宿に呼ばれた時点でのプレータイムは6.6分だった。
ホーバスコーチは「Bリーグでの経験がないのに代表に呼ぶことになる。谷口選手はチャイニーズ・タイペイ戦で35分間出たけど、Bリーグでは2022年になってから(2月22日の)Window2の時点で34分しか出ていないと言っていた。試合も多すぎるし、それはおかしい。Bリーグと代表で良い仕事をすれば、日本のバスケがもっとできるようになる」と谷口を引き合いに出し、日本人日ビッグマンのプレータイムに関して持論を展開していた。
谷口は「トムさんが話しているところは僕も見ていて、笑ってしまった(笑)」と言うが、プレータイムは競争に勝って自らつかみ取るものというスタンスを崩さなかった。「外国籍だろうが日本人だろうが、プレータイムは自ら勝ち取らなきゃいけないのが大前提です。その中でBリーグでプレータイムをもらえていないのもあって、前回にプレータイムをもらえたら自分がどれだけできるかを初めて知りました。トムや自チームのコーチが僕をどう評価するのかによって、プレータイムが変わってきますが、大前提として、自分自身で勝ち取らなきゃいけません」
谷口は驕ることなく「自チームではできない経験をここでできているのはすごくありがたいですが、35分出るかと自信を持って言える状態ではない」と、自身の立ち位置を客観的に理解している。そして、「僕の強みの3ポイントシュートが必要なんだとコーチ陣に思ってもらえるようにアピールしていますが、お互いに切磋琢磨し合って、それが代表の底上げになれば良いと思っています」と言い、ベテランなりのやり方で代表定着を目指している。