永吉佑也

「アジアで勝てるレベルにいると思うので、自分も力になれるように貢献したい」

トム・ホーバスは男子代表のヘッドコーチに就任してから多くの選手を招集して自らのスタイルにフィットする人材を探している。今回のWindow3に向けての合宿でもこの路線に変更はなく、Window1と2の時はいなかった新顔を呼んでいる。その中でも一番のベテランとなるのが永吉佑也だ。

外国籍の大半が4番、5番ポジションの選手であるBリーグにおいて、日本人ビッグマンがプレータイムを得るのは簡単なことではない。その中で永吉は今シーズンまで5年間在籍した京都ハンナリーズで1試合平均20分前後のプレータイムをコンスタントに獲得してきた。年々レベルが上がっている外国籍選手と対峙してきた経験値は他の日本人ビッグマンにはない大きなアピールポイントとなり得る。

「トムコーチとは初めてのバスケットとなりますが、システムとかやりたいバスケとかを共有していく中ですごく面白いバスケをしていると感じています。やっていて素直に楽しいです。アグレッシブにやるバスケはすごく好きなので、コーチからいろいろなことを学びつつ、自分も成長できると思っています」

このように永吉はホーバスについての印象を語ると、楽しいと感じる理由についてより具体的に言及する。「Bリーグでは外国籍など特定の選手にボールを集めるバスケットボールをしがちですが、代表は5人全員で動いてノーマークを作り、良いシュートを打つコンセプトですごく気に入っています。守備ではアグレッシブにやりたいと、フルコートでのトラップを使います。5人全員で意識を共有しないといけないのでコミュニケーションが大事で、すごく頭を使っていろいろと勉強中ですが、日本はサイズがないので運動量、チームワークを押し出して戦っていくのは良いことだと思います」

もし、永吉がこのままWindow3に出場した場合、2018年2月22日のチャイニーズ・タイペイ戦(ワールドカップ予選2019)以来となるFIBA公式戦でのプレーとなる。昨年は東京五輪の3×3代表候補に選出されるも最終メンバーに残ることはできなかったが、代表活動の経験は大きなプラスになった。

「去年は3人制の最終選考で外れた後も1、2週間ぐらい練習相手として参加させてもらいました。この合宿を経て自分のレベルアップを感じ、そこからBリーグのシーズンを通してもリングへのアタックの意識をつけることができました。代表は自分の成長に繋がる場所だと思っています」

また、新シーズンはB2のライジングゼファー福岡に移籍する。「本気でB1に上がりたい。そのために新しいコーチを連れてくるし、僕が必要だと言ってもらえました。B1に上がる明確な目標があり、自分にとってはやりがいのある仕事だと感じたのでオファーを受けました」と新しいチャレンジを楽しみにしている。ただ、「今回の合宿は自分にとって大事です。B2のチームに行くとスタッフから見られる回数が減ることは理解しています」と冷静に分析しており、だからこそ今回の合宿にかける思いは大きい。

「正直、自分は代表の中で目標を語れるレベルではないので、自分のベストを尽くしてコーチに評価していただく。それが自分の言えることだと現実的には思います」と、永吉は自身の代表における立ち位置を謙虚に語った。それでも、彼にしかない外国籍との豊富なマッチアップ経験を生かすことができれば、今回の合宿とWindow3で一気に序列を高める可能性は大いにあるはずだ。