藤井&林の勝負どころの活躍で逆転勝利
10月17日、川崎ブレイブサンダースがホームでシーホース三河と対戦。試合終盤までもつれる競り合いとなったが、ここぞの場面で攻めの藤井祐眞、守りの林翔太郎とベンチメンバーの奮闘が光り69–60で制した。
第1クォーター、両チームともに攻撃が単発となり、川崎は得点を挙げたのがバーノン・マクリン、シェーン・エドワーズの外国籍コンビのみ。三河は金丸晃輔が8得点を挙げるが他が続かず、川崎の15-13とロースコアの出だしとなる。第2クォーターになると、川崎が守備の圧力をより強めたことで三河のオフェンスが沈黙。このクォーターで三河は8得点に終わってしまい前半は33-21と川崎がリードして終える。
それでも後半に入ると三河が反撃開始。加藤寿一の3ポイントシュートなど、後半開始から6連続得点で流れを引き寄せる。そして、桜木ジェイアールとアイザック・バックのインサイド陣が、このクォーターで計8アシストと、ゴール下を起点とした得意のハーフコートバスケットボールで川崎を翻弄。フィールドゴール17本中12本成功と高確率でシュートを沈め、45-49と一気に逆転する。
このまま三河が一気に押し切るかと思われた第4クォーターだが、ここで川崎は北卓也ヘッドコーチが「第4クォーターはうまく藤井がブラインドをアタックし、バーノンと藤井のラインがうまく機能していい流れになりました」と振り返るように、1点を追う残り約6分半から藤井の3連続シュート成功で逆転。これで試合の主導権を取り戻すと、残り約2分半に本日22得点を挙げたマクリンのシュートで9点差に突き放し逃げ切った。
林の守備を称賛「面白く伸びていきそうです」
川崎の北ヘッドコーチは「苦しみながらでしたけど、三河さんに勝利できて良かった。前半、あまりシュート確率が上がらず後半になると、早々に追いつかれてしまいました。三河さんは試合巧者でそうなるとズルズルといってしまうパターンですが、金丸選手に林がマッチアップしてくれてうまく守ってくれました」と、新人の林を讃える。
実際、金丸はこの試合で21得点を挙げたものの、林がともにフル出場した第2クォーター、第4クォーターに関しては約15分半の出場で3得点のみ。リーグ屈指の日本人スコアラー相手に値千金の仕事をした林を指揮官は次のように評価する。「林は腕が長いので、遅れてもシュートチェックに行くとみんな嫌がっています。ヘルプサイドのディフェンスも思っていた以上に良いですし、東海大九州で元(炳善)さんに鍛えられて走力がある。面白く伸びていきそうです」
川崎は昨シーズンの課題だったベンチメンバーの奮闘が目立ったが、一方で気になるのは先週の滋賀レイクスターズ戦に続き、出だしで得点が伸びていないこと。この点を北ヘッドコーチは、「今まではニック(ファジーカス)がスタートに出て点を取ってくれたので、こういう現象があまりなかったです。今日も前半、ショットクロックバイオレーションが3回ほどあったと思いますが、攻められるところでパスをしているのがちょっと見受けられます」と見ている。
そのファジーカスはこの試合わずか1得点と、らしくないプレーに終わっている。「ニックも大分、足は良くなりましたが、ゲーム勘が戻らず苦しんでいます。ゲームをやりながら、どうにか彼を良い状態にしてあげたい」と北ヘッドコーチは現状を語るが、土曜日から難敵アルバルク東京との連戦が控えており、大黒柱の一刻も早い復調が求められるところだ。
経験不足を露呈「頑張っているところが逆に裏目に」
一方、三河の鈴木貴美一ヘッドコーチは、「第2クォーター、シュートを自分が決めてやろうと張り切りすぎて早打ちしたり、ミスをしたりして、差をつけられました。第3クォーターはテンポ良く、慌てないでオフェンスができましたが、また第4クォーターに焦ってミスをしてしまった。そこは今までゲームに出ていなかった選手の経験不足の面が出ました。あともう一歩、ケミストリーの部分がうまく来ないと、こういうゲームには勝てない」と試合を総括する。
これで三河はまさかの開幕5連敗となったが、対戦した相手はすべて昨シーズンのチャンピオンシップ出場チームと難敵が続いた側面もある。「良い部分もたくさん出ています」と指揮官は、特に若手の成長に一定の手応えも得ている。あとは「一生懸命やっていて、頑張っているところが逆に裏目に出ています。ハッスルしているのは分かりますが、もう少し余裕をもって慌てないで攻めることが大事だと思いました」と語るように、厳しい場面でもどれだけ落ち着いてプレーできるかが復調への鍵となってくる。
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