ファストブレイクポイントで15-0と圧倒
とどろきアリーナで行われた川崎ブレイブサンダースと宇都宮ブレックスによるチャンピオンシップセミファイナル第1戦は、堅守で川崎から冷静さを奪った宇都宮が83-70で勝利し、ファイナル進出に王手をかけた。
ともに激しいディフェンスを持ち味とするチーム同士の対決となったが、第1戦で堅守速攻を体現したのは宇都宮だった。宇都宮はこの試合で川崎から14本ものターンオーバーを奪い、そこから23得点も稼いだ。対して、宇都宮のターンオーバーも9本となったが、そこからの失点はわずか2点のみ。ファストブレイクポイントでも15-0と圧倒しての勝利となった。
試合を通して宇都宮はハードな守備を貫き、中でも目立ったのが第2クォーターだ。第1クォーター出だしは川崎のピック&ロールに苦戦したが、開始約2分半で前半一つ目のタイムアウトを使い、すぐにディフェンスを修正。そして第2クォーターは、川崎のハンドラー陣に厳しく当たりゲームを組み立てさせず、わずか13失点に留めた。
川崎の佐藤賢次ヘッドコーチが「第2クォーター終わりのターンオーバーが続いたところで相手に勢いを持っていかれた」と反省したように、宇都宮は前から厳しいプレッシャーをかけて立て続けにターンオーバーを誘発して主導権を握り、15点リード(45-30)で前半を終えた。
このハードなディフェンスに加えて、オフェンスでも宇都宮が上手だった。川崎のハンドラー陣がプレー選択に迷いが生じた中で、宇都宮は比江島慎がオフェンスを牽引した。川崎の厳しいマークを逆手に取り、ペイントアタックしてディフェンスを複数枚引きつけては、逆サイドにカットインしてきたジョシュ・スコットやアイザック・フォトゥの得点をアシストした。
12得点7アシスト4リバウンドで勝利に貢献した比江島は「自分はペイントエリア内にしっかりアタックすれば、何かが起きると分かっています」と振り返った。また、このシリーズでは川崎のパブロ・アギラールが欠場していることもあり「(ジョーダン)ヒース選手のところをしっかり対応すれば、チャンスは見いだせると思っていました」と続ける。
「ヒース選手の位置をしっかり確認して、キックアウトでジョシュやアイザックに合わせることができました。自分の得点は伸びなかったですけど、アシストで貢献できたので、明日もしっかりやっていきたいです」
「 相手に流れを持っていかれそうな時でもしっかり我慢できた」
冒頭でも触れたように、宇都宮はディフェンスでのリズムをオフェンスにも繋げ、5選手が2桁得点をマーク。ベンチポイントでも27-10と圧倒し、チーム全員でバランス良く得点を重ねていった。
比江島は「自分たちが用意してきたプランをしっかり遂行できたと思います」と手応えを語る。「千葉戦に引き続き、セカンドユニットも素晴らしかったし、相手に流れを持っていかれそうな時でもしっかり我慢して、相手の弱点や嫌なところを突いて冷静に試合を運べました。まずは1戦取れて良かったです」
比江島が言うように、15点リードを奪って後半を迎えた宇都宮だったが、後半は川崎も見事に前半の課題を修正した。そのため、第4クォーター残り5分24秒にはマット・ジャニングに5本目の3ポイントシュートを許し、4点差(69-65)にまで詰められた。それでも続くポゼッションで比江島は巧みなハンドリングでディフェンスを次々と交わしてフォトゥの得点をアシストするなど、川崎の流れを断ち切った。
比江島は言う。「いつもディフェンスで崩れてしまって、オフェンスでも流れを引きずってしまうところがありました。それでも今回はしっかりインサイドを突いたり、インサイドからのキックアウトで、そこからのカウンターであったり。チェイス(フィーラー)選手もしっかりリバウンドを取ってくれて、そのまま得点に繋げてくれたりと、本当に冷静にやれたと思います」
この試合を含めて、宇都宮はチャンピオンシップでの川崎戦を6戦全勝としている。明日の第2戦も今日と同じように激しい守備から主導権を握ることで、昨シーズンに続いてのファイナル進出を決められるか注目だ。