「できることを精一杯やっての結果なので受け止めて、明日に繋げたい」
名古屋ダイヤモンドドルフィンズはチャンピオンシップのクォーターファイナルで川崎ブレイブサンダースと対戦し、第1戦を71-97で落とした。
名古屋Dにとって2017-18、2018-19シーズン以来、3度目のチャンピオンシップ進出となっただけに万全の状態で挑みたいところだったが、コティ・クラークとオヴィ・ソコがケガで欠場し、外国籍選手はスコット・エサトンとアジア特別枠のレイ・パークスジュニアのみという状況だった。
ヘッドコーチのショーン・デニスは「最初から難しい試合になると思っていました。でも、チームのことを誇り高く思います。選手たちはファイトしてくれたし、最初は上手くディフェンスもオフェンスもできていました」と第1戦後に語った。
名古屋Dと言えば、リーグ3位の平均87.3得点をマークしているように、得点力に長けたチームだ。特に、司令塔の齋藤拓実を中心に素早いボールムーブやペイントアタックからワイドオープンでのシュートチャンスを作り出し、3ポイントシュート成功率もリーグ4位をマークしている。
外国籍選手2人を欠いている名古屋Dは、川崎との第1戦でもボールを動かしてオープンでの3ポイントシュートチャンスを何度も作り出した。しかし、なかなか当たりが来ず、前半は18本中わずか3本の成功に留まった。
指揮官は「外のシュートが入らないとこの試合は難しくなります。外国籍選手2人がいなくてサイズのアドバンテージを乗り越えられない中、途中からソフトなターンオーバーも増えて外のショットを外しすぎて、それを乗り越えられない部分がありました」と語った。
「外国籍選手が2人いない中、どう戦うかを考えながらプレーしていました 」
先にも触れたように、前半の3ポイントシュートはわずか3本成功に留まった名古屋Dだが、このすべてを決めたのが今シーズンの3ポイントシュート王の狩野祐介だ。
狩野が第1クォーター残り約3分半にコートに送り出されたのを見た川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは、すぐに『守備職人』の長谷川技を送り、フェイスガード気味で狩野をマークさせた。佐藤ヘッドコーチは「狩野選手は3ポイント王ですし、50%以上入っている選手なので、今日はまず彼が出たタイミングで長谷川を出してマッチアップさせて簡単に打たせないように、もしズレができたらスイッチで対応するように言っていました」と振り返る。
そのため狩野は厳しいマークにあったが、ファーストプレーで3ポイントシュートを沈めて、チームメートがシュートタッチに苦しむ中で『いつも通りのプレー』でチームを鼓舞した。
デニスコーチが「緊張もあったのかもしれない」と語ったように、名古屋Dはいつも通りのプレーができなかった中で、チャンピオンシップ初出場の狩野は自分のプレーを全うした。狩野は「僕は初めてのチャンピオンシップなので、楽しむしかないと思っていて。出だしからどんなにチェックされても打とうという気持ちでファーストショットを打った」と振り返る。
そして、チームとして『名古屋Dらしさ』を出せなかった要因について「考えすぎた」と言う。「外国籍選手が2人いない中、どう戦うかを考えながらプレーしていました。出だしは五分五分で行けましたけど、やはり高さの面やリバウンドのところから、どんどん点差を開けられて、自分たちのバスケができずに終わりました」
すべてのクォーターで下回っての26点差は完敗と言える。ただ、最後まであきらめず、そして最終クォーターは日本人選手のみで戦って必死に食らいついた。それだけに狩野は「できることを精一杯やっての結果なのでしっかりと受け止めて、まだ明日があるので明日に繋げていきたいと思います」と前を向く。
チャンピオンシップは2戦先勝方式のため、第2戦を落としたら名古屋Dは今日でシーズン終了となる。狩野は「もしかしたら泣いても笑っても、明日が最後の試合になるかもしれない」と覚悟しつつ、第3戦へ望みを繋げるためにも、「やっぱりリバウンドのところだと思います」と、第2戦でのポイントを語った。「ゴール下を取られるのは仕方がないと思いますけど、落とした時のリバウンドをどうにか取って走るしかないと思います。それで、やっぱり最後はもう楽しむしかないと思います」
第1戦で2桁得点をマークしたのは19得点13リバウンドのエサトンと3ポイントシュート7本中4本成功の12得点を挙げた狩野だけだ。第2戦でも、狩野らしいプレーでチームを牽引することに期待しつつ、第3戦へ望みを繋げることができるか注目だ。