並里成

桶谷ヘッドコーチ「自分たちのディフェンスをやり続けたことで60点に抑えられた」

琉球ゴールデンキングスはチャンピオンシップのクォーターファイナル初戦で秋田ノーザンハピネッツと対戦。秋田の持ち味である3ポイントシュートを抑えるなど、最後まで集中力を切らさずに激しいディフェンスを継続して74-60と制し、セミファイナル進出に王手をかけた。

試合の立ち上がり、琉球は秋田のピック&ロールからの展開に苦しみ、五分五分で第1クォーターを終える。第2クォーターに入っても一進一退の攻防が続くが、琉球は終盤にかけてドウェイン・エバンス、コー・フリッピンがしっかりチームオフェンスで崩してから3ポイントシュートを成功。残り5秒からのオフェンスで岸本隆一がゴール下へと一気にドライブしてレイアップと、相手の隙を逃さず7点リードで折り返す。

後半の出だし、互いにディフェンスを崩せずに膠着状態となる。だが、ここでキングスに大きく流れを引き寄せたのは並里成だった。24秒ギリギリで放ったオフバランスの3ポイントシュートを沈めると、さらにディフェンスリバウンドを取った後、自ら一気にゴール下まで持ち込んでのレイアップ。この連続得点で琉球はリードを12点に広げた。

その後、琉球ペースで試合は続くが、第4クォーター序盤に秋田の田口成浩が3ポイントシュート、ドライブからのシュート成功と見せ場を作り、残り約7分で4点差にまで縮められる。だが、琉球はタイムアウトを取ると、直後のプレーで今村佳太が3ポイントシュートを沈め悪い流れを断ち切った。これで落ち着きを取り戻した琉球は、ディフェンスをしっかり立て直して秋田の追撃を抑えて勝利した。

琉球の桶谷大ヘッドコーチは、「最初はディフェンスで下がりすぎてしまい、前半はやられたくないところを攻められてしまいました。それでも後半、我慢強く自分たちのディフェンスをやり続けたことで秋田さんを60点に抑えられたと思います」と、堅守でつかんだ白星と振り返る。

そして今日の第2戦に向け次のように気を引き締めている。「秋田さんは3ポイントシュートのチームなので本数をいかに減らすかが課題でした。そこで試投数を18本と減らすことができましたが、その反面、オープンショットを打たれる回数は多かったです。そこで外してくれたのはラッキーでした。明日はどうなるのか分からない。やるべきことをやって相手の得意な部分を出さないようにしたいと思います」

並里成

「我慢してタフにプレーすることで自ずと良い結果になる」

この試合、琉球は第2クォーター途中から最後まで主導権を握って押し切った。それは要所で何度かビッグプレーが飛び出したことが大きかったが、中でも指揮官は「ちょっと変な空気になった時、成のディフェンスとボールプッシュで流れを自分たちに持ってこれたことが一番印象に残っています」と並里について言及する。

冒頭で触れた第3クォーターの連続得点など10得点4アシスト2リバウンドを記録した並里だが、自身のスタッツに関心を示さず。このように司令塔の矜持を語る。「チャンピオンシップに向けてしっかり心も身体も準備してきました。どういう流れになってもチームを引っ張っていく気持ちでした。勝ったことが、個人のプレーに対する評価だと思います」

そして、第4クォーター途中に追い上げられた時も焦りはなかったと振り返る。「バスケットボールは流れのスポーツで、向こうに行く時こちらに来る時とあります。流れがこない時はしっかり我慢して、流れがきたときに一気にいくのが僕たちのバスケです。我慢して、タフにプレーすることで自ずと良い結果になるのでそこを意識しました」

琉球はレギュラーシーズンから、今回のチャンピオンシップ初戦で普段通りのプレーを遂行して、勝ち切ることを重視するチーム作りを行ってきた。その成果がしっかり出たことに「すごく大きい1勝です」と並里も好感触だ。

ここまで琉球は、3度クォーターファイナルを勝ち抜いているが、それは全て第3戦までもつれている。リーグ制覇を果たすためには、なるべく少ない試合数で消耗を抑えてファイナルまで進むのが理想的で、並里も「優勝するためには最大で9試合となりますが、その中でなるべく2連勝で勝ち上がりたい」と語る。

第2戦も勝ち、これまでにない2連勝でセミファイナル進出を果たすことができれば、それは琉球にとってフィジカル、メンタルの両方で大きな弾みとなる。そのためには今日も並里の激しいディフェンスとオフェンスのテンポを加速させるボールプッシュが必要だ。