大ケガをしてもなおブレックスファミリーの喜多川修平「吹っ切れたけどウズウズ」

2018/10/12
Bリーグ&国内
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喜多川修平

文=鈴木栄一 写真=鈴木栄一、野口岳彦

8月上旬、栃木ブレックスに激震が走った。3ポイントシュート王に輝いた高い精度を誇る外角シュートを武器とし、昨シーズン後半の巻き返しに大きく貢献した喜多川修平が練習中に故障し、右ひざ前十字靭帯断裂および右ひざ外側半月板損傷の重傷を負ったのだ。可能性は残されているが、今シーズン中の復帰は厳しいと言わざるを得ない。それでも喜多川が、王座奪還を目指して戦うブレックスファミリーの大事な一員であることに変わりはない。それを示すかのように、今日4000枚、明日1000枚が配布されるプレイヤーズマスクに喜多川を選んだ。復帰に向けたリハビリに励む今の心境、ファンへのメッセージを喜多川に語ってもらった。

「リハビリの辛さを身をもって感じています」

──ケガをした時の状況を教えてください。現状、復帰の見通しはどうなっていますか?

普通の対人練習で、いつも通りの動きの中で大ケガをしてしまいました。最初は訳が分からなくて、「なんでこの動きで膝をやっちゃったんだろう」との思いが浮かびました。ただ、これはただごとじゃないとは感じていて、治るまで長くかかりそうだなとぼんやり想像していました。そして病院に行って検査し、診察室に入った時に先生が暗い感じの顔だったので、「これはもうダメだな」と。そこで覚悟しました。

復帰の時期については、正直まだ分かりません。一般的に言われるのは術後8カ月なので、シーズンの最終盤くらいというイメージはあります。ただ、今はひざの可動域を広げたりするリハビリをやっている段階で、本当にそれくらいの時期に復帰できるかの不安はあります。リハビリの辛さを身をもって感じています。

──これまでの選手生活で、今回のようなここまで大ケガの経験はありましたか?

ないですね。今までは大ケガといっても、捻挫のひどいやつで数週間くらいです。捻挫は何回もしているので、痛みの程度で回復までどれくらいか自分で判断ができていました。こんな大ケガは初めてで、今後自分でこれくらいの時期に復帰だろうな、という見通しは立てられないです。

──昨シーズンは3ポイントシュート成功率のタイトルを獲得するなど充実のシーズンになりましたが、本来であればどういうシーズンにしたいと思っていましたか?

チームは最初に苦労しましたが、シーズンが進むにつれて一つになってきました。個人としても、自分のプレーを徐々に出せていけました。それを今シーズンは開幕戦からどんどん出して、チームとしても個人としても向上していきたいと意気込んでオフシーズンを過ごしていた矢先のケガだったので、かなりのショックでした。

喜多川修平

「自分の身体を知ることが、これからのプラスに」

──ケガをして手術を受け、現在に至るまでの心境面の変化はありますか?

かなりありますね。最初は「この先どうしよう」という不安、そして手術の怖さがありました。ACL(前十字靭帯)を切っている人に連絡したりして情報を集めたりすることで、復帰までの大変さをいろいろと聞きました。

今はケガをしたことによって、自分の身体をもっと知ろうと思っています。自分はここの筋肉が弱い、ここを強化しないといけない。こういう動きは全然ダメとか、ケガする前はそういうことをあまり重要視していませんでした。それが今回の大ケガで何カ月も復帰できない状況になったからなのか、身体の一つひとつの動きだったりをあらためて知ることができました。それは今後の自分にプラスになっていくと思っています。

──このように気持ちが前向きになるまでにどれくらい時間がかかりましたか?

意外と早かったです。手術はこの日ですと言われたくらいから吹っ切れていました。それまでは結構、ぼおっとしていることが多かったかもしれないです。

──福岡戦での開幕戦はどこで、どんな気持ちで見ていましたか。

家で見ていました。練習もそうですし、見ているとすごくやりたくなります。福岡の開幕ゲームを見ていても、自分がいたらこういう動きをしていたかなと思いながら試合を見ていたりしていて、吹っ切れてはいますけどウズウズはしますね。

喜多川修平

「コミュニケーションは遠慮せずやっていく」

──ソフトバンク株式会社とのプレイヤーズマスク企画は、喜多川選手も一緒に戦っていくというチームの意思表示です。

会社やチームのこういった心意気は本当にうれしいです。リハビリで「今日はやりたくないな」という時もありますが、待ってくれている人の思いを今回マスクという形で表してくれたことは、自分が必要とされていると感じ、モチベーションを上げられます。本来なら、ブレックスだったらマスクつける人はこの人かな、と想像できる選手は僕以外にいると思います。それを今回僕がケガをして、こういうふうにやってくれるのはすごくうれしいです。

──プレーできない中でも何らかの形でチームに貢献できると思いますか?

外から見ていく中で、自分が気づいたこと、思ったことはどんどんコミュニケーションを取って伝えていきたいです。そうすることで自分が戻った時に、プレーがやりやすくなるとも思いますし、そこは遠慮せずにやっていきます。また、年齢的にも上のほうなので、若手へのアドバイスでもチームに貢献して一緒に戦っていきたいと思っています。

──最後にファンへのメッセージをお願いします。

ホーム開幕戦ということで、選手もスタッフもみんなやるぞ、という気持ちになっています。ファンの皆さんの熱量が作り出してくれる会場の雰囲気を、ベンチの外で座りながらも感じられるのはうれしいです。今シーズンも僕たちと一緒になって戦っていただき、ホームゲームを楽しんでもらいたいなと思います。