「ここまで積み上げてきたものがすごく誇らしいと思える今日のゲームでした」
4月23日、琉球ゴールデンキングスはホームで行われた島根スサノオマジックとの西地区首位決戦に93-82で勝利。この結果、5年連続となる西地区優勝を決めた。
試合の出だし、島根は安藤誓哉が積極的なアタックでチームをけん引したが、琉球は今村佳太がこのクォーターだけで3ポイントシュート3本中3本成功を含む11得点と爆発し、24-19と先手を取る。第2クォーター、琉球はドウェイン・エバンス、アレン・ダーラム、小寺ハミルトンゲイリーを同時起用するビッグラインナップが機能し、リバウンドで優位に立つことでリードを13点に広げた。
後半に入っても琉球のペースで進むが、第4クォーター序盤に琉球が外からの単発シュートとオフェンスが淡白になった隙を突いた島根が、得意の走る展開からペリン・ビュフォードのアタックで7点差に詰める。しかし、琉球はここでタイムアウトを取ると、直後のポゼッションでコー・フリッピンのドライブからのキックアウトで岸本隆一が3ポイントシュートを沈める理想的な形で悪い流れを断ち切った。あとは危なげない試合運びでそのまま逃げ切り、チャンピオンシップでのホームコート開催権を確定させた。
この試合、第4クォーターだけで12得点をマークと持ち前の勝負強さを発揮し21得点を挙げた岸本は、自身にとって5度目の地区制覇についての思いを明かす。「(過去の4度と比べて)良い意味でこれまでの地区優勝と違いはないです。ただ、沖縄アリーナができてよりホームで戦うことの大切さを感じています。ホームコートアドバンテージを取れたのはすごく大きいです」
そして球際での強さを発揮してリバウンドを制すると、オフェンスではボールシェアからバランスよく得点を重ねる琉球らしいバスケットボールを遂行しての勝利に充実感を語る。「ここに到るまでに積み上げてきたものがすごく誇らしいと思える今日のゲームでした」
「勝率だったり数字に振り回されないように意思を強く持っていきたい」
地区優勝は価値あるものであるが、一方で琉球にとってはリーグ制覇に向けた1つの通過点に過ぎない。その上で次の通過点として周囲が注目するのは西地区1位に加え、リーグ全体での勝率1位、さらに2018-19シーズンに千葉ジェッツが樹立した52勝8敗のリーグ最高勝率.867の更新だ。現在、琉球は44勝5敗の勝率.898と記録更新を十分に狙える。
「本音をいえば意識します」と言う岸本だが、同時にそれよりも優先すべきものがあると続ける。「今の状況はうれしい反面、重視するのはそこじゃないよねと自分に言い聞かせる日々でもあります。ここから先は、いかに自分たちのプレーの精度を上げ、なおかつチームにとって良いことができるかに集中していく。勝率だったり数字に振り回されないように意思を強く持っていきたいです」
記録は気にしない岸本だが、「そこは気になります」と力強く言い切るのが、自分たちが頂点に立つことで、過去の実績からチャンピオンシップで勝つのは今年も東地区と予想する東高西低の見方を覆すことだ。「今シーズンの戦いぶりをみて、『やっぱり勝つのは琉球だよね』と思ってもらえるゲームができればいいです。今シーズンはここまで例年になく確かな手応えを得て、プロセスを踏めていると思います」
キャプテン田代直希の戦線離脱などすべてが順調に行っている訳ではないが、今の琉球は成績が示すように着実に前進している。だからこそ好事魔多しではないが、岸本はより気を引き締めて残りのレギュラーシーズンを過ごしたいと強調する。「ただ、こういう時、思わぬ落とし穴があったり、予期しないトラブルが起こる可能性があるので集中力、緊張感を失わないようにしていきたいです」
慢心なきチームリーダーの下、琉球はさらなる進化を貪欲に追い求めていく。