文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

県予選で敗れた後輩たちには「次は出られるよう」とエール

10月30日、栃木ブレックスは秋田ノーザンハピネッツを87-73で下した。能代工業出身の田臥勇太にとっては『凱旋試合』を連勝で飾ったことになる。

前日の試合は、勝ちはしたもののターンオーバーが多く、秋田にギリギリのところまで追い込まれたが、今日は終盤に入って常に2桁のリードを守っての完勝。前日は19ものターンオーバーを犯していたが、今日は9と半減させた。

田臥はこの試合に入るにあたり、「昨日の反省点として、ターンオーバーをなくすことと、ディフェンスを頑張って相手に攻めさせてリバウンドを取ってというところ」がポイントだったと語るが、そのいずれもクリアしての勝利だった。田臥自身は約22分の出場で6得点。5つのアシストを記録し、課題のターンオーバーはゼロと、司令塔の役割をきっちり果たしている。

高校時代を過ごした能代に戻ってプレーできたことについては「これだけ歓迎していただいて、懐かしさもありつつ、非常に楽しめました。ありがたかったです」と感謝する。「Bリーグになったから秋田さんと戦えて、こうやって能代でもプレーできました。あらためてBリーグの大事さというか、その存在を自分たちは大事にしてやっていかなければいけないと思います」

能代市総合体育館はキャパシティいっぱいの2648人を集めた。チケットが早々に完売したため、会場の外ではパブリックビューイングが実施されたほど。秋田の人気に加え田臥の凱旋とあって、『バスケの街』能代は大いに盛り上がった。

一方、田臥の母校である能代工業が、ウインターカップ秋田県予選の準決勝で敗れ、46年続いていた連覇が途切れるという意外なニュースもあった。1996年に入学した田臥は、在学中の3度のウインターカップでいずれも優勝している。

母校がウインターカップの出場権を逃したとのニュースを聞き、田臥は「負けちゃいましたか、あららら」と驚いた様子。それでも「こうやって全国大会に出れないことがニュースになり、みんなが残念がってくれるチームはそんなにないので。OBとしては残念ですけど、結果を受け止めて次は出られるよう、チーム全員で頑張ってほしい」と、後輩たちを気遣い、エールを贈った。

最後に田臥は能代のファンの愛情にあらためて感謝した。「これからも応援してもらえるように頑張らないと。またパワーをいただけた感じです」

栃木はこれで10勝2敗、アルバルク東京と並び東地区の首位をキープしている。今回もアウェーで2連勝し、これでアウェー成績は開幕以来の6連勝と、敵地での強さが際立つ。次節はレバンガ北海道をブレックスアリーナに迎える。