荒谷裕秀

チームメートの遠藤祐亮も荒谷のディフェンス面での変化を実感

宇都宮ブレックスは代表ブレークを経てのリーグ再開となった3月2日のサンロッカーズ渋谷戦、5日と6日の横浜ビー・コルセアーズ戦を3戦全勝で終えた。2日のSR渋谷戦では安齋竜三ヘッドコーチ、佐々宜央アシスタントコーチが不在となるタフな状況を乗り越え、3試合の平均失点は65.3と堅守を基盤とする宇都宮らしい展開で勝利し、結果だけでなく内容的にも良かった。

相手をロースコアに抑えることができたのは、激しいプレッシャーを守備でかけ続けることができたから。それを可能としているのはセカンドユニットがしっかり仕事を果たしプレータイムをシェアできた側面も大きい。

そして今、ベンチから出場機会を増やし、存在感を高めているのは昨シーズン途中に特別指定で加入し、ルーキーシーズンを過ごしている荒谷裕秀だ。6日には第4クォーターに得点を重ねキャリアベストの11得点3リバウンドの活躍を見せた。試合後、荒谷は「昨日の試合から継続して今日もディフェンスが良く、失点も昨日より抑えられたので良い流れの試合ができたと思います」とまとめると、自身のプレーを語る。「得点もそうですけど、それ以外のところでも自分が与えられた役割をしっかりこなせている印象です」

2022年になってからプレータイムを増やし、ローテーションの一員となっている荒谷だが、出場機会に恵まれなかった序盤との違いは守備にある。「一番はディフェンスで、ローテーションやチームで共通意識を持っている部分で、少しずつ周りに遅れなくなってきているのが大きいと思います。気持ち的にオフェンスはもともと持っている自分の強みを出せれば良いと思っていて、そこにやっとディフェンスが追いついてきたという感覚です」

チームメートである遠藤祐亮は「オフェンスに関してはずっと良いプレーを持っています。アウトサイドもあり、身体の強さ、高さもあります。いろいろな得点の取り方ができて、しかも左利きです」と、大学時代から知られていた荒谷の非凡なオフェンス力を評価し、変わった部分を次のように見ている。 「大きく変わったのは気持ちの部分だと思います。ブレックスで試合時間を獲得するにはディフェンスの理解力、遂行力が鍵になっています。そこに気づいてディフェンスからやるぞという気持ちが見えますし、攻守でミスが少なくなってきている。ヘッドコーチからすると、オフェンス、ディフェンスの両方で貢献できる選手になってきたと思います」

荒谷裕秀

安齋ヘッドコーチ「ヒデの良さがすごく出てきて、落ち着いてやれている」

そして安齋ヘッドコーチは、荒谷の変化を語る。「(12月25日の島根スサノオマジック戦で)スタートで使ってから、本人の感覚が変わって試合に入れるようになりました。前まではちょっとフワフワしていて、オフェンスで自分からやりだしてミスをしてしまうこともありました。僕が思うセカンドユニットは、プラスマイナスがゼロだったらOKです。でもマイナスになった時点で、そこから違う選手に変えようという考えです。その中で、彼はオフェンス、ディフェンスともにマイナスにならなくなった。ディフェンスもヘルプポジションがしっかりできるようになり、リバウンドはオフェンスも含めてよく絡んでいくようになりました。ヒデ(荒谷)の良さがすごく出てきて、落ち着いてやれていることで、プレータイムを与えることができています」

次戦、宇都宮の対戦相手は地区首位の千葉ジェッツだ。宇都宮がさらに順位を上げるためには勝利が欠かせない。10月27日に行われた千葉との前回の対戦、荒谷のプレータイムは約3分でほとんど試合に絡めなかった。しかし、今の彼は上位との対戦でも爪痕を残せる自信を得ている。

「自分の調子が良くなってきてローテーションに入れるようになってから初めての上位チームとの対戦が、この間の天皇杯の川崎戦でした。試合に負けてしまいましたが、自分の中では良いオフェンスもあったので、それがまた出せればいいかなと思います」

「チャンスは全員に与えます」と安齋ヘッドコーチは起用法について語っており、今日の千葉戦においても荒谷は序盤からコートに立つことになるだろう。そこでしっかりと結果を出せばプレータイムは10分、それ以上と自然と伸びてくる。そればできれば宇都宮は、ここ一番の勝負どころで中心選手たちがよりフレッシュな状態で臨める。

荒谷が難敵相手にこの週末のようなプレーを見せることができれば、宇都宮は大一番での勝利に近づく。それはタフな日程が続くこれからに向けても、大きなプラス材料となってくる。