ニック・ファジーカス

3年目のBリーグ、優勝候補の一角である川崎ブレイブサンダースは4日の千葉ジェッツ戦で開幕を迎える。その絶対的なエースとしてチームに君臨するニック・ファジーカスは、今シーズンは開幕から帰化選手としてプレーする。相手にとっては脅威の存在だが、この夏には左足関節遊離体摘出の手術を受けて回復段階。そんなファジーカスに開幕への意気込みを聞いた。

「僕のコンディションが戻ればもっと楽しくなる」

──まずは現在のコンディションについて教えてください。

今は70%から80%で、開幕戦ではいつも自分がしているプレーを、可能な限りやりたいと思っている。だた、前よりも良くなってきているし、時間が経てばいずれ100%のコンディションになってくるよ。

この夏はずっとリハビリをしていて、バスケの練習ができなかった。今はバスケの感覚を取り戻しているところだ。ただ、1日で何かが大きく進展することはないし、時には休息も必要だ。いつもチーム練習が終わった後、しっかり個人練習するのが自分の日課なのに、それができていない。十分にワークアウトできないのは辛いことだし、ちょっと戸惑うところではあるけど、今は足首を回復させることを優先している。

──ワールドカップアジア予選のWindow4は欠場となりました。試合は見ましたか?

手術した後はアリゾナでリハビリを行っていて、日本に戻ってきたのは9月中旬だった。カザフスタン戦はちょうど日本に戻ってくる日か、その直後に行われていたので、見ることはできなかったけど、イラン戦は見ることができた。イランを破るのはとても印象的なことで、見ていて楽しかったよ。

──バーノン・マクリン、シェーン・エドワーズと2人の新外国籍選手について教えてください。2人は川崎と契約する前、あなたとの会話が川崎入りの決定打となり、「ニックは優れたリクルーターだった」と言っていました。

2人が来てくれてよかったよ、一緒にチャンピオンになりたいね(笑)。シェーンとはアリゾナで会ったし、もともと知り合いだったバーノンとは夏の間に何度か話した。バーノンはパスもうまいしオールラウンドなビッグマンで、バスケットボールIQが高い。シェーンはサイズと身体能力を兼ね備え、2番から4番までこなせてディフェンスでも頼りになる。彼らと一緒にプレーできるのはエキサイティングだ。ただ、僕のコンディションが戻ればもっと楽しくなるよ。

──レギュレーションの変更により、あなたとマクリン、エドワーズ選手の3人が同時にコートに立つことも可能となりました。このビッグラインアップは、チームにとって大きな武器になると思います。

もちろんだ。このラインアップはチームに大きなアドバンテージをもたらせると思う。レバンガ北海道とのプレシーズンで使った時はうまく機能した。でも、もっと練習しないといけない。僕はリハビリがあったし、(篠山)竜青と辻(直人)は代表活動でチームを長く離れていた。連携を良くしていくにはまだまだ時間が必要だ。そのためには何よりも練習の積み重ねが大切。試合よりも練習だ。練習で互いに何をやりたいのか理解していくことだね。

──帰化選手が日本人選手と同じ扱いとなったことは、川崎にとってより大きなプラスになると見られています。

ルール変更で帰化選手がいるチームは、大きなアドバンテージになるとみんな言っている。ただ、外国籍選手でベンチ入りできるのは1試合に2人だけで、さらに平日開催が多いスケジュールだから、日本人ビッグマンが重要であることに変わりはないと思う。

僕もルール上では1試合40分プレーできるけど、それは現実的でないね。長いシーズンを考えると良いことではない。シェーンは4番もプレーできるし、バーノンは4番と5番、鎌田が5番を任せられる。インサイド陣を多くの人数でローテーションできることは川崎の強みであり、それはシーズン終盤になってより生きてくるはずだ。

ニック・ファジーカス

新しいチームとファン「ホームゲームが待ち遠しい」

──もう一つの大きな変更点として、チャンピオンシップの第3戦が10分でなく、通常の1試合となります。

この件については、これまでのBリーグの決断の中でもベストなんじゃないかな。いずれは3戦先勝方式になってもらいたい。10分だとタフショットを何本か決めたチームがそれで勢いで勝ててしまう。今度は第2戦の後、しっかり身体を休めて、ちゃんと前の試合を分析して40分で競うことになる。バスケットボール本来の姿により近くなるよ。だからこそ、ホームコートアドバンテージをしっかり取らなくてはいけなくなる。

──新しいメンバーも加入することで、ニック選手のプレースタイルに変化は出てくると思いますか。

バーノンがインサイドで構えることで、今シーズンは3ポイントシュートやミドルシュートといったアウトサイドの攻撃が増えてくるだろう。もちろん、これまでと同じプレーもしっかりこなすよ。バーノンは素晴らしいポストプレーヤーで、僕のためのスペースを作ってくれる。日本代表がそうであるように、高いレベルの選手と一緒になることで、よりスペースが生まれて楽しくプレーできる。

──日本で7年目のシーズンがいよいよ始まります。日本人として迎える初めてのシーズン開幕にもなります。開幕を迎えるにあたり、これまでと違う感覚はありますか?

特に違いはないよ。チームではベテランとなり、他の選手を引っ張っていく役割を担っていくことになるけど、ハードワークを続けて自分にできるプレーを続けていくつもりだ。変化を挙げるとすれば、能力の高い外国籍コンビの加入で、自分へのプレッシャーは軽減されていると思う。

──最後に、ファンへのメッセージをお願いします。

今までのファンに加え、新しいファンに会えることを楽しみしている。すべてのホームゲームに多くのお客さんが来てくれることで、ホームコートアドバンテージを作ってもらえたらと思う。そして、ファンとのつながりをより強いものにしたいんだ。新たにセンターハングビジョンが導入されたり、とどろきアリーナの演出もより良くなるし、ホームゲームが待ち遠しいよ。