谷口大智

茨城ロボッツでの出場時間は6.6分、今回の代表では35分と15分に

バスケットボール男子日本代表は、2月26日と27日に沖縄アリーナで行われたワールドカップ予選Window2を1勝1敗で終えた。

初戦のチャイニーズ・タイペイ戦では日本が追いかける時間が続いたが、後半に立て直すと最終クォーターで逆転し、76-71でトム・ホーバス体制となって初めての勝利を挙げた。続く第2戦は強豪オーストラリアと対戦し、前半は2点ビハインドと対抗した日本だったが後半で失速してしまい、64-80での完敗となった。

日本代表は今予選を1勝1敗で終えたが、大きな収穫があった。チーム最年少の西田優大がチャイニーズ・タイペイ戦でゲームハイの27得点を挙げる活躍を見せて勝利の立役者となり、新エースとして名乗りを上げた。そして、もう一人が31歳にしてフル代表デビューを果たした谷口大智だ。この2試合とも先発を任された谷口は、『ストレッチ4』としての役割を果たし、初戦のチャイニーズ・タイペイ戦では第1クォーターで3ポイントシュート2本を成功させて、チームに勢いを与えた。

谷口はチャイニーズ・タイペイ戦について「序盤に思い切り打つことを僕の中で決めていたので、最初に3本ミスをした後でも、迷わず4本目、5本目を打って決めるというところは、ヘッドコーチが僕に求めているところを体現しようとした結果、そうなりました」と振り返った。

初戦のチャイニーズ・タイペイ戦でルーク・エヴァンスに次ぐ、チーム2番目の35分15秒のプレータイムとなった谷口は、続くオーストラリア戦ではファウルトラブルもありプレータイムは15分22秒となったが、この2試合の平均プレータイムは25分にまで伸びた。

初代表でこれだけのプレータイムを与えられたのは、指揮官からの信頼があってこそだが、プレータイムが伸びたことで見つかった課題もある。谷口が「僕は普段あまりプレータイムを長くもらっていない」と語ったように、所属する茨城ロボッツでの今シーズンの平均プレータイムは6.6分で、キャリア平均でも11.3分と長くない。そのため、谷口は「長く試合に出たとしても、最後までしっかり集中してプレーできるようにしなきゃという課題をこの2日間で学びました」と振り返った。

谷口大智

「トムコーチがやりたいことを僕たちが迷わずにしっかりと体現できるように」

女子日本代表を東京オリンピックで銀メダル獲得に導いたトム・ホーバスが新指揮官に就任したからといって、男子日本代表もすぐに強くなるわけではない。女子日本代表も数々のステップを踏んで、日本バスケット界史上初の快挙を成し遂げた。

同じように男子日本代表も世界と渡り合う強さを手に入れるには時間がかかる。それでも、選手たちにはホーバスヘッドコーチが求めることをそれぞれが実行できれば強くなれるという自信がある。

谷口は「今回は短い期間の中で自分のルールやチームのルール、そしてチームメートのルールを理解しながらプレーしようとしましたが、やはりまだ時間が足りませんでした。みんなでもうちょっとやりたい気持ちがすごく強く、そこを積み重ねていくことが日本の強さだと思う」と言う。

「トムヘッドコーチがやりたいことを僕たちが迷わずにしっかりと体現できるように、時間をかけてでも一歩一歩前に進んでいく必要があると思います」

帰化枠ではB2でプレーしているエヴァンスが選出されたように、ホーバスヘッドコーチは所属クラブの強さやカテゴリーに関係なく、選手たちに日本代表へのチャンスを与えている。ホーバス体制になったことで、31歳にして日本代表に招集された谷口も、今大会で得たチャンスを逃さず好パフォーマンスを発揮した。それだけに、谷口の今後のさらなる成長と日本代表への定着を期待したい。