「アデトクンボに肩で胸を押された時、大袈裟じゃなく5秒は呼吸が止まった」
昨年のNBAドラフト1巡目6位でサンダーに指名されたジョシュ・ギディーは、順風満帆のデビューシーズンを過ごしている。チームは18勝40敗と勝てていないが、再建中のため目先の勝利より若手の成長が第一。ギディーはシーズン前半戦の53試合に先発出場し、31.4分のプレータイムを得て12.4得点、7.8リバウンド、6.4アシストと素晴らしい活躍を見せている。オールスターウィークエンドにはライジングスターズに出場。スキルズチャレンジでも見せ場を作り、『NBAのスター候補生』としての評価をさらに高めた。
そのギディーがオーストラリアの『TODAY』にリモートで出演。昨シーズンはNBLのアデレード36ERSでプレーしたギディーはNBAでの成功を大いに称えられるとともに、『夢の舞台』に立つ心境を率直に明かしている。
「僕はバスケ人生のすべてを費やしてでもNBAプレーヤーになりたいと思っていた。だから、自分の想定よりずっと早く夢が実現したことになる。ドラフトで指名された日がそうだったけど、シーズンの半分が過ぎた今でもコートに立つたびに夢の中を生きている気がするし、時にはこれが現実だとは思えないこともある」とギディーは言う。
「どういう気持ちか想像してもらいたいんだけど、コートに立って周りを見れば、これまであこがれてきたNBAのスタープレーヤーばかりなんだ。最初は彼らにどんな言葉で挨拶しようかと悩んだよ。でも、実際には挨拶じゃなく対戦しなきゃならない。本当にすごいことだよ」
19歳の彼にとっては驚きの連続だが、その中でも一番の衝撃はプレシーズンの2試合目でバックスと対戦した時だった、と彼は言う。「スイッチしたらヤニス(アデトクンボ)とのマッチアップになった。彼に肩で胸を押された時、大袈裟じゃなく5秒は呼吸が止まったよ。驚くことはいっぱいあったけど、『これがNBAか!』って一番思ったのはその出来事だった」
それでも、次々と目の前に立ちはだかるNBAのトッププレーヤーに対して、ギディーは気負いすぎるでもなく臆するでもなく、チャレンジ精神を持ってマッチアップして、上々のパフォーマンスを見せている。スタープレーヤーとの対決はどんな気分かと問われた彼は、「自分が大好きな選手でも、昔からずっと見てきた選手でも、対戦するからにはファンみたいな気分は捨てなきゃいけない」と語り、こう続けた。
「現実感を得られなくても試合が始まればやるしかない。例えばレブロン・ジェームズは僕が生まれた時からNBAでプレーしてて、ずっと見てきた選手だ。でも、試合ではそのことは忘れて全力でぶつかる。まさかトラッシュトークは仕掛けられないけどね(笑)」
「シーズンで82試合もあるから毎日が忙しくて、ずっと遠征していてホテルで暮らしている感じだけど、この生活を僕はずっと夢見ていたわけだから不満はないよ」と、ギディーは晴れやかな笑顔を見せる。母国のファンの応援も彼のパワーになるはず。刺激的な日々の中で成長を続ける彼は、シーズン後半戦にも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるはずだ。