トム・ホーバス

「代表はみんながアグレッシブにスコアリングしないと勝てない」

バスケットボール男子日本代表は今週末のワールドカップ予選Window2に向けた準備を進めている。前回の合宿から日が空いたこともあり、指揮官のトム・ホーバスは今一度、自身が目指すスタイルを選手たちに落とし込んでいるという。ホーバスコーチが「中国戦は全然良い試合ができなかった」と振り返ったように、日本はWindow1の中国との2試合でいずれも完敗を喫した。それでもホーバスコーチは「ウチのバスケットの道が開いた」とも言い、目指すべきスタイルが明確になったことを収穫に挙げた。

「2ポイントシュートと3ポイントシュートのバランスは悪くなかった。フリースローの本数も増えたし、オリンピックの時に比べると良い道に行きました」

ホーバスコーチが言うように、3ポイントシュートの試投数は大幅に増え、トランジションへの意識も高まった。それでも、中国とは一つひとつのプレー精度に明らかな違いが見られ、フィジカルと気持ちの強度の差も浮き彫りとなった。ホーバスコーチは女子日本代表を率いていた時から、試合に勝つことにこだわってきた。それは勝利することが個人とチームの自信に繋がるからで、今回の2試合も当然のように勝つことを目標に掲げた。

「中国戦よりももっと良いバスケをしたい。目標は勝つことで、結果が大事です。勝つことができれば、選手一人ずつの自信も、チームとしての自信も大きくなる」

勝利するためには対戦相手を知ることも大事だが、チャイニーズ・タイペイとオーストラリアについての詳しい情報が分かっていないようで、ホーバスコーチも「どんなプレーをするのか、きれいなスカウティングができていない」と正直に明かした。だが、26日のオーストラリア戦の前日にオーストラリアとチャイニーズ・タイペイが対戦するため、スケジュールの利が日本にはある。そのため「相手よりもウチのバスケに集中している」とホーバスコーチは言う。

『ウチのバスケ』というのは、ホーバスコーチが目指すスタイルに他ならず、自チームで求められる役割と異なることを要求される場合ももちろんある。そのため、最初の合宿では戸惑う選手も多かったが、現在はアジャストして充実した合宿が送れている。「代表はみんながアグレッシブにスコアリングしないと勝てない。そういう話もしました。前はディフェンスも気持ちも甘かったですが、今は迷わずにみんなアグレッシブになった」

「日本のために良いチームを作りたい」と、熱い気持ちで合宿を続けているホーバスコーチ。Window2は男子日本バスケ界にとってのターニングポイントとなるかもしれない。