ベン・シモンズ

「お金の問題じゃなく、自分らしさを取り戻すのが最優先だった」

セブンティシクサーズからネッツへと移籍したベン・シモンズは、現地2月14日のキングスとのホームゲームで会場入りし、ベンチから新しいチームメートに声援を送った。シクサーズでは昨シーズンのプレーオフで大不振に陥り、敗退の戦犯とされたことで関係が悪化。今シーズンの始動からかなり遅れてチームに合流したものの、やる気がなくヘッドコーチのドック・リバースにチーム練習から追い出されている。その後はメンタルの不調を訴え、巨額の罰金を支払いながらもシクサーズでプレーするのを拒否してきた。

プレーオフで敗れた後、リバースはシモンズが今後も戦力かどうかと問われて「分からない」と言葉を濁し、エンビードはシモンズがフリーなのにゴール下のシュートを選択せずパスしたシーンを「あそこがターニングポイントとなって敗れた」と明言した。ファンもメディアも、深刻なシュートスランプに陥ったシモンズに責任を押し付けた。その時点で彼は「精神的に良い状態を保たなければいけない」と感じたそうだ。その数日後にはトレードを要求することになり、『ベン・シモンズ問題』は始まった。

その後、メディアに対しても沈黙を貫いてきたシモンズだが、ネッツの練習施設で会見に応じて、プレーしないことに対する批判、プロフェッショナル精神の欠如を指摘する声について「僕にとっては『暗い時期』だった。みんな言いたいことを言うものだ」と語った。「過去6カ月間ずっとそうだったけど、僕は何も言わなかった。人はそれぞれ自分の意見があるものだから、それでいいさ。でも、ここのみんなが僕を歓迎してくれたのは本当にありがたい。すごくポジティブな経験だし、これから何が起きるのかが楽しみでワクワクしているよ」

シクサーズとの関係について、フロント陣や指揮官リバース、トバイアス・ハリスとはトレード後も連絡を取り合っているが、ジョエル・エンビードとは話をしていないと認めた。ただ、シモンズにとっては彼らとの衝突が問題ではないそうだ。

「誰に何を言われたとか、そういうことじゃない。あのシーズン、あのプレーオフよりもずっと前から、僕は個人的な問題を抱えていた。これについてはあまり触れたくないんだけど、とにかくコートに出てプレーする気持ちを作るのが難しかった」

「いろいろな問題が何年もかけて積み重なっていた。僕は人として幸せで健康である状態に戻りたかった。お金の問題じゃなく、自分らしさを取り戻すのが最優先だった。その上で高いレベルでバスケをプレーできるようになりたかった。でも、僕は今ここにいる。ネッツのようなチームにいられるのは幸せだ。信じられないタレントが揃っているから、どうなるか楽しみだよ」

ネッツにはケビン・デュラントとカイリー・アービングがいる。ジェームズ・ハーデンはトレードで失ったが、シモンズが本来の力を取り戻せば、強力なトリオとなる。「僕らはヤバいチームになると思うよ」とシモンズは言う。「彼らと一緒にプレーすれば、対戦相手にとっては恐ろしいだろうね。僕の横を走る選手たちも、様々な武器を持っている選手だ。僕たちが望むペースでプレーすれば、すごいことになる」

シモンズは今シーズンまだ試合に出ておらず、最後にプレーしたのは昨シーズンのプレーオフがあった昨年6月のこと。試合レベルのコンディションを取り戻すにはしばらく時間がかかりそうだが、「日付は決めていないけど、コートに戻るべく練習はしている。強度も上がってきているよ」と語る。

注目すべきは3月10日、フィラデルフィアでのシクサーズvsネッツだ。「出られることを願うよ」とシモンズは語った。