デリック・ホワイト

ディフェンスを引き締める役割を果たし、ナゲッツ撃破に貢献

1カ月前の時点でセルティックスは勝率5割を切り、プレーオフ進出が危ぶまれていた。この時期に結果が出ていないと、チーム内外が騒々しくなるもの。ジェイレン・ブラウンとジェイソン・テイタムは個人技に走っている、マーカス・スマートをトレードすべきだ、また今シーズンから指揮を執るイメイ・ユドカでは経験不足で勝てない、などの雑音が大きくなっていた。

それでもセルティックスは立ち直った。コロナ禍が一段落して、ケガ人も復帰してチーム全体のコンディションが向上したのが第一の要因であり、『雑音』は的外れだった。3連勝を記録して勝率を5割に戻したのが1月12日のこと。今は32勝25敗と貯金を作り、ネッツを抜いて東カンファレンス7位まで浮上した。

現地2月11日にはナゲッツと対戦。ニコラ・ヨキッチに23得点16リバウンド11アシストとトリプル・ダブルを許したが、同時に9つものターンオーバーを引き出した。堅守を前面に押し出す戦い方でロースコアに持ち込み、点差の離れない接戦ではあったが、第4クォーター残り3分半にブラウンからロバート・ウィリアムズ三世へのアリウープが決まって97-96と逆転した後は、堅守を崩せないナゲッツを焦って自滅へと追い込み、108-102で勝利した。

ヨキッチは「いつも通りのプレーをしたはずだけど、上手くいかなかった。僕たちが良いポジショニングを取れずに自滅した」と敗戦を振り返った。一方でスマートは「僕らは常に落ち着いていた。最初から最後までお互いに信頼しあった結果だ」と誇る。

これでセルティックスは7連勝。ディフェンスから自分たちへの展開に持ち込むセルティックスのスタイルをさらに強化すると期待されるのがデリック・ホワイトだ。スパーズからトレードで加入したばかりの彼は、この試合が新天地でのデビュー戦。主役の働きを見せたわけではないが、ベンチから28分の出場で得失点差はチームで最も良い「+11」をマークした。

ホワイトはコロラド州の出身だが、父親はボストン出身で、子供の頃からセルティックスのファンだった。彼によれば、ホークス戦の遠征中にグレッグ・ポポヴィッチが部屋を訪ねて来て、トレードを通告するとともに、今後のアドバイスを与えてくれたそうだ。「トレードは予想していなかったし、新しいチームで何をすればいいのか分からなかった。でも実際にここに来てみて、セルティックスで自分がプレーするんだと思うと興奮したよ」とホワイトは語る。

かつてスパーズでアシスタントコーチを務めていたユドカは、ドラフト前からホワイトを調査し、キャリアのスタート時期を支えた経験を持つ。報道陣に対して指揮官は「この中に私よりもデリックのことを知っている人はいないだろうね」と笑みを漏らす。「大学時代に2部から1部のチームへと転向し、大学で長くプレーしたことで成熟してきた。オフェンスもディフェンスも良いし、人間性も素晴らしい。あらゆる面で我々の求める基準をクリアしている」

「コーチングスタッフが顔見知りで助かった。今日の試合でプレーするかどうか分からなかったし、出場すると決まったのは試合開始の1時間ぐらい前だ。でも、出番を命じられるまですごく冷静でいられた。コートに出て、自分のすべきことをやるだけだった」。そう語るホワイトは、即戦力の期待に応えてくれそうだ。復調を果たしたセルティックスに、頼りになる戦力が加わった。