苦手を克服し、バスケで自分をアピールすることができるか?
男子日本代表は若手中心のメンバーを集めて強化合宿を行っている。
若手中心とあって初めて合宿に招集されたメンバーが多いが、信州ブレイブウォリアーズの前田怜緒もその一人だ。「初めてということで、個人的にはすごくうれしく思います。チームメートもいるし、日頃Bリーグで試合をやっている対戦相手もいるので、数少ない練習の中で自分がどういうプレーができるのかをアピールしていきたいです」
信州からは前田を含む4人がメンバーに選ばれた。岡田侑大は不参加となったが「マシュー(アキノ)は前回選ばれていて『その時どうだった?』って当時も話したんですけど、今回こうやって一緒になって3人で頑張ろうと話していました」と前田は言う。また、滋賀レイクスターズ時代のチームメートであるシェーファー・アヴィ幸樹との再会も彼にとっては歓迎すべきもの。「アヴィは僕が特別指定で入った1年目の滋賀の時のチームメートで、4カ月ぐらいしかできなかったんですけど、こうやって一緒に練習ができてすごくうれしいです」
滋賀から信州に移籍した今シーズンの前田は出場した31試合すべてに先発するなど、主力の座をつかみ取った。平均9.2得点、3.1アシストとオフェンス面での数字を伸ばしているが、アグレッシブなディフェンスが持ち味でもある前田はディフェンス面を強化させたいと意気込んでいる。「ディフェンスの部分に関しては、すごく勉強したいと思っています。Bリーグでも外国籍のガードだったり、エースの人たちとマッチアップすることが多いので、何か学べたらなと思います」
トム・ホーバスヘッドコーチは高速トランジションと3ポイントシュートを多投するスタイルで世界との差を埋めようと考えている。前田も「ディフェンスを前から激しく当たるようなプレースタイルです。世界に比べたら身長が小さいので、オフェンスもスピードで補うしかないとずっと言っていました。本当にスピードが速い展開が持ち味だなと思っています」とホーバスヘッドの考えを理解している。
代表に選ばれた選手たちは日の丸を背負う重みについて話をすることも多く、国を背負う覚悟が必要だと説く。だが前田はそのような考えが足りていないことを自覚し「個人的に積極的じゃないというか、性格的にも人見知りだと思うんです。自分からバスケットボールに関してアピールすることがあまり得意ではないというか、慣れていなくて」と言葉に詰まった。それでも、代表への意欲がないわけではなく、「自分の持ち味が存分に出せたら、それが良い結果に繋がる」と話した。合宿はプレーの向上だけでなく、精神的な成長も可能な場所だ。この合宿がきっかけとなり、バスケで自分をアピールすることができるようになれば、前田の成長速度はさらに増すはずだ。