カイリー・アービング

写真=Getty Images

ボストンのファンがエースを離さない?

昨年の夏、セルティックスは大きな賭けに出た。そして、その賭けは良い方向に進もうとしている。

1年前、当時の球団の顔だったアイザイア・トーマスらと交換でキャバリアーズからカイリー・アービングを獲得したセルティックスは、昨シーズンの後半まで東カンファレンス首位をキープし、東の2位でプレーオフ進出を果たした。そしてアービング、ゴードン・ヘイワードを欠きながらもカンファレンス・ファイナルにまで勝ち進んだ。

アービングは3月下旬から戦線を離脱し、2015年に手術を受けた左ひざの感染症は、2回の手術を経て万全な状態に回復した。気になるのは、今シーズン終了後の去就だ。アービングは、契約最終年を破棄してフリーエージェントの権利を行使することが確実視されている。巷では、彼がジミー・バトラーとともにニックスに移籍するという噂も出ているが、アービングは否定している。むしろ、セルティックス残留を第一に考えていることを示唆する発言をしたばかりだ。

トレーニングキャンプ前日のメディアデーで『NBC Sports』のインタビューに応じたアービングは、自身を取り巻く環境について、こう述べた。

「(噂は)この仕事にはつきもので、理解しているよ。それに、自分が置かれた立場を考えれば、自然なことだと思う」

そしてアービングは、改めて名門セルティックス、ボストンという特別な環境にいられる喜びを理解しているとも語った。

「この球団がどれだけ特別な存在か、ロッカールームにいる選手たちがどれだけ特別な選手かは分かっているよ。もしフリーエージェントの権利を行使する流れになったとしても、きっとボストンは、『退団なんてダメダメ。帰ってこいよ』という感じになるだろうね。うれしいよ」

またアービングはトレードされた1年前と比べて、システムを理解し、セルティックスでやり易さを実感していると話す。

「トレードされて合流した去年と比べると、すごくやりやすい。チームのみんなのことも知っているしね。集中力も、フィーリングも違う。みんなからの愛情だけは一緒。どんどん愛情が高まっているしね。感謝している」

アービングが今年のオフにセルティックスと延長契約を結ばなかった理由は、1年後にフリーエージェントになってから再契約する方が、高額の契約を結べるからに他ならない。NBAのシーズンは長く、選手を取り巻く状況も日々変わるため、1年後のことを予測するのは難しいが、現時点では、アービングが2018-19シーズン以降もセルティックスの緑のジャージーを着ている姿が想像できる。