「彼は多くの批判を受けているけど、それは当然のことさ」
NBAの2021-22シーズンの開幕まであと1カ月半となったが、ベン・シモンズがどのチームで開幕を迎えるのかは、いまだ分かっていない。
ジョエル・エンビードとともに、セブンティシクサーズの中心を担いNBA優勝を目指してきたが、昨シーズンはカンファレンスセミファイナルで敗退。特にプレーオフでのシモンズは、もともと得意ではないシュートが絶不調に陥り、ホークスとのGAME7では35分のプレータイムでわずか5得点に留まり戦犯扱いされ、あれから2カ月以上たった今も多くの批判を受けている。
本人はシクサーズのトレーニングキャンプに参加せず、球団にはトレードを要求したことも報じられている。しかし、評価がガタ落ちしたシモンズを球団はあくまでも『オールスター選手』としてトレードしようとしたため、どのチームとも交渉はまとまらず、今もなお去就不明のままだ。
シャックの愛称で知られる元NBAのレジェンド、シャキール・オニールも多くの批判を受けてきた選手だ。シャックは多くのアスリートが不当な批判を受けることがあるとしつつも、「彼は多くの批判を受けているけど、それは当然のことだよ」と、ラジオ番組『SiriusXM』に出演した際にシモンズについて語った。
「フィラデルフィア、ボストン、ニューヨーク、マイアミ、ダラスのような特定の都市では、ハードワークとは何を意味するのかを知っている。同時に『恐れを知らない』ことがどういう意味かもね」と言うと、プレーオフで見せたシモンズのプレーを例に出して、シャックはこう続けた。
「6フィート11インチ(約211cm)の選手がドライブしてダンクすべきところで他の選手にキックするようなプレーは、僕たちが望んでいるものじゃない。僕たちは、彼に自分のゲームをやってほしいんだ。彼は多くの批判を受けているけど、それは当然のことさ。偉大な選手はみんなそういう経験をしているし、それはこのビジネスの一部でもある」
「父が私に教えてくれたことの一つに『多くの人が君のことを話しているが、その批判は正当なものだろうか』というものがある。彼の場合は、その通りだと思う。いいかい、君は3000万ドル(約33億円)を稼いで、フェラーリやランボルギーニを手に入れた。それは素晴らしい人生だよ。ただ、君はみんなの記憶に残りたいと思わないかい? 歴史に名を残したくないのかい? どんなふうにみんなの記憶に残りたい? 鏡を見て、それに答えることができるようになれば、彼が抱えている問題は解決するだろうね」
シモンズはシュート力こそないが、ゲームメーク力に長け、フィジカル負けしない力強いドライブからアシストや得点も量産できる大型ポイントガードだ。また、2シーズン連続でオールディフェンシブファーストチームに選出されるなど、ディフェンスの名手でもある。多くのポテンシャルを秘めているだけに、オフェンス面での改善が見られれば、より優れた選手になることは間違いない。ファンが期待するようなプレーを、新シーズンのシモンズが見せてくれることを願うばかりだ。