複数のポジションを守れるロールプレーヤーを獲得
2連覇を達成した王者ウォリアーズは、たとえ下位指名権しかなくともドラフトを無駄にはしない。今年は全体28位指名権を行使し、シンシナティ大学出身のフォワード、ジェイコブ・エバンスを指名した。
エバンスはビッグネームではなく、2巡目指名でも不思議ではなかった。だがウォリアーズのボブ・マイヤーズGMは、同選手が28位まで指名されなかったため、迷わずエバンスを選んだ。
エバンスの最大の強みは、複数のポジションを守れる守備力で、ディフェンスはNBAでも1年目から通用すると評価されている。王者ウォリアーズは、言わずと知れた4人のオールスター(ステフィン・カリー、ケビン・デュラント、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーン)を中心とするチーム。ここ数年は適材適所の補強を実行し、盤石の態勢を維持している。
昨年のドラフトでは、全体38位で当時無名だったオレゴン大学出身のジョーダン・ベルを指名。ベルはプレシーズンから守備力とリバウンドでチームに勢いを与え、昨シーズン開幕からローテーションに入るチャンスを得て、予想を上回るパフォーマンスで2連覇に貢献した。ベルを指名したことからも分かる通り、今のウォリアーズにはオフェンスで中心を担う選手を獲得する必要はない。むしろ、ベンチの層を厚くし、主力に少しでも休む時間を与えられるロールプレーヤーを獲得する方が重要になる。その選手を格安の新人契約で獲得できるなら、球団にとってもメリットは大きい。
その点で言えば、エバンスの指名は的を射ている。マイヤーズによれば、ドレイモンド・グリーンもこの新人を高く評価しているそうで、ドラフト前のワークアウトにも姿を見せたという。また、「彼はバスケットボールを理解している」と、マイヤーズに助言したのもグリーンだった。マイヤーズはエバンスについて「彼は守備の重要性を理解している。大学レベルの選手で守備を意識している選手は少ない。マッチアップする相手と対峙しても落ち着いてやれる選手だ」と、ドラフト後の会見でコメントした。
エバンスは指名された後で、チームのドラフトルームにいたヘッドコーチのスティーブ・カーやグリーンと言葉を交わした。マイヤーズは「彼の代理人が電話番号を教えてくれて、最初にスティーブが話した。スティーブが『今から君のチームメートになる選手に代わる。ちゃんと挨拶しろ』と言って電話に出たのがドレイモンドだ。私は彼らの会話を聞いていなかったが、きっとジェイコブが『分かりました』と言うことしかできない内容だっただろうね」と笑いを誘った。
エバンスがマイヤーズ、グリーンの期待に応えられるかどうかは、サマーリーグ、プレシーズンを通してのパフォーマンス次第になる。だが会見でのマイヤーズの表情を見る限り、王者は昨年のベルに続き『掘り出し物』を探し当てたようだ。
Hey @warriors fans, here's a look at what @JacobEvans_1 is bringing to the Bay Area!#Bearcats | #NBADraft#DubNation pic.twitter.com/SqrLU8jxYa
— Cincinnati Men's Hoops (@GoBearcatsMBB) 2018年6月22日