文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

名古屋Dの強力外国籍コンビが『個の力』で本領発揮

昨日行われた横浜ビー・コルセアーズと名古屋ダイヤモンドドルフィンズの一戦。最終盤までもつれる熱戦を繰り広げるも、逆転を狙った細谷将司のラストショットが外れ、80-81と名古屋に惜敗した。

横浜を指揮する尺野将太ヘッドコーチが「今週はとにかくディフェンスに集中して練習してきました」と語ったように、序盤は横浜がディフェンスからリズムをつかむ。名古屋の得点源であるジャスティン・バーレルにダブルチームで自由を与えず、起点を作らせなかった。

オフェンスでは連動したチームプレーからノーマークを次々と作り出し、理想とする素早いトランジションオフェンスを繰り出す。アーリーオフェンスから川村卓也がロング2ポイントを決めて16-8とリード。アグレッシブにプレーした細谷が2本の3ポイントシュートを含む8得点を挙げ優位を保ち、21-17で第1クォーターを終えた。

しかし、ともにオン・ザ・コート「2」の第2クォーターに入ると、横浜はクレイグ・ブラッキンズの個人技に手を焼く。ブラッキンズは決して易しくないフェイダウェイシュート、2本の3ポイントシュートを沈め、このクォーターだけで10得点を荒稼ぎして試合をひっくり返した。

それでも横浜はパスに対して手をひっかけるシーンが何度も見られるなどディフェンスが機能し、その結果として大崩れしない。相手の時間帯を耐えつつ、ウィリアム・マクドナルドがインサイドで着実に加点し、このクォーターでも上回り、38-32とリードして前半を終えた。

『これぞエース』川村卓也の得点連発も及ばず

ところが後半になると、出だしで横浜がつまずく。ディフェンスローテーションの隙を突かれてイージーシュートを許し、バーレルにインサイドを攻められ6連続得点を許した。開始1分半で6点のリードを吐き出し、タイムアウトを取っても悪い流れを変えられない。

名古屋Dは前半は積極性を欠き、打てるシーンでもシュートを打たないシーンが多々見られたが、後半に入ると姿勢が変わった。梶山信吾ヘッドコーチも「躊躇した部分があった」と認め、後半は「全員がボールを触ったり、サイドからサイドにボールを動かして良いバスケットができていた」と振り返る。

張本天傑のポストプレーを起点にボールがよく回り、笹山貴哉が8得点、中東泰斗が7得点を挙げるなど6選手が得点。第3クォーターを安藤周人、ブラッキンズの連続3ポイントシュートで締めた名古屋Dが60-55とリードして最終クォーターへ。

追いつきたい横浜だが、ブラッキンズとバーレルの個人技を止められない。残り3分、67-75とこの試合最大のビハインドを背負ったが、ここから川村卓也が『これぞエース』と言わんばかりに3ポイントシュートを次々と沈め、残り3分を切ったところから11得点を挙げた。残り30秒、川村のこのクォーター3本目の3ポイントシュートが決まり80-81と肉薄する。

名古屋Dの攻めをしのぎ、残り7秒で得た最後のポゼッション。ジェフリー・パーマーがボールをプッシュし、最後のオフェンスへ。川村は厳しくマークされ、パーマーはそのままアタックするが、左サイドでノーマークとなった細谷を見逃さずキックアウト。しかし、残り1秒で細谷が放ったシュートが外れ、試合終了のブザーが鳴った。

「勝ちたい気持ちを前面に出せ」で1点差勝利

勝利した名古屋Dの梶山ヘッドコーチは試合をこのように振り返った。「横浜のエナジーと良いバスケットの前に、僕らのバスケットができいない時間が続きました。後半に入る前に『勝ちたい気持ちを前面に出せ』ということを話し、それがディフェンスに出たと思います。最後までシーソーゲームになりましたが、勝ちたい気持ちがこの1点差に表れたと思います」

敗れた横浜の尺野コーチは悔しさをにじませながらも冷静に敗因を分析した。「自分たちのやるべきこと、プラス相手への対策。後半の失点の部分で準備が足りなかったのが、後半の49失点につながったと思います。本来であればトラップを準備して2の手、3の手を準備しています。今回は基本のディフェンスに注力したことで策を準備できず、『個』でやられました」

最終クォーターの名古屋Dの得点は21。このうち実に19点をバーレル(10得点)とブラッキンズ(9得点)の個人技で挙げている。横浜はダブルチームで止めに行こうとしたが、それをさせないポジショニング、フロアバランスをした名古屋Dが上回った。

前半をリードするきっかけを作り、接戦を演じる立役者となった細谷だが、逆転を狙ったシュートを決めきれず、「JP(パーマー)が最後信じて僕に託してくれたシュートを外してしまった部分では、まだまだ努力が足りてないと痛感した試合でした」と肩を落とした。

今日14時5分からは第2戦が行われる。ホームでの連敗が許されない横浜は、前節にディスクォリファイングファウルで出場停止となったハシーム・サビート・マンカが戻って来る。リーグ屈指のリムプロテクターであるサビートが、どこまで外国籍選手を封じられるか。ここが第2戦のカギとなりそうだ。

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