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実現すればカワイ・レナードとの超強力デュオが誕生

キャバリアーズにトレードを要求したカイリー・アービングの行き先候補には様々なクラブの名前が挙がっているが、どこもアービングを獲得したいとは思っても、キャブズを納得させられるだけの交換条件を提示できず、状況はなかなか進展しない。

アービングが希望しているのは優勝できる環境であり、再建段階にあるチームへの移籍ではない。もしサンズとの間でトレードを成立させたと仮定すると、アービングは現在の契約が満了する2020年夏にサンズを退団するだろう。このタイミングで有望な若手をキャブズに差し出しても、アービングは3年しか所属しない。2020年には再び本格的な再建に着手する羽目になる。これではサンズにとっても厳しい。

アービングの望む『優勝できる環境』のチームが、キャブズを納得させられる条件を提示した場合以外は、トレードが成立する可能性は極めて低いと言える。そんな矢先、『ESPN』はトレード先がスパーズであれば、アービングは契約延長に応じるだろうと報じた。

スパーズならば名将グレッグ・ポポビッチの下で優勝を狙うことができるし、昨シーズンのMVP候補に選出されたカワイ・レナードとの超強力デュオも誕生する。レナードとアービングの2人がいれば、大物フリーエージェント選手の勧誘にも影響を及ぼすはずだ。

しかし、肝心となるキャブズが得る見返りという話になると、スパーズでは弱い。ラマーカス・オルドリッジ、トニー・パーカー、ダニー・グリーンを交換要員として提示したとしても、それでキャブズが納得するかどうか。キャブズにとってはアービング以外にもレブロン・ジェームズの去就という問題もある。レブロンにはフリーエージェントになる来夏にキャブズを去り、レイカーズに行くという噂がある。この可能性を考えると、即戦力の選手よりも有望な若手のほうがキャブズには適している。

スパーズとアービングは互いにメリットが合致する。もしサンズがジョッシュ・ジャクソンをトレードに含めるのなら、キャブズとサンズの思惑も合致する。だが、3者が納得するような組み合わせは今のところ見つからない。誰かが折れるのか、それとも今から『第3のチーム』が現れて救いの手を差し伸べるのか。あるいは状況が進展しないまま開幕を迎えるのか……。とにかく状況の推移を見守るしかない。