トゥオビHC「川崎対策より自分たちのアイデンティティを確立するための練習」
横浜ビー・コルセアーズは10月31日、11月1日に行われた川崎ブレイブサンダースとの『神奈川ダービー』で連勝を収めた。この連戦前まで4連敗と調子を崩していたところから立ち直った横浜BCは、7勝7敗の5割に勝率を戻している。
過密日程のリーグ戦だが、この連戦の前には中4日と十分に練習する時間があった。横浜BCのラッシ・トゥオビヘッドコーチは「この週末に向け、本当に良い練習ができました。その成果をコート上で出せたことはうれしいです」と語る。
そして充実の練習の内容について次のように明かす。「長い間できていなかった基本的なことに力を入れました。川崎対策よりも、自分たちのアイデンティティを確立するための練習でした。積極的に動き、ディフェンスで激しいプレッシャーをかけ、その後でどういう風に動くかについて重点的に取り組みました。シンプルで信頼できるプレーに磨きをかける。基本に立ち返ったことが成功の秘訣となりました」
ゲーム1を75-65で制した横浜BCは、ゲーム2も77-66と、2試合続けて堅守で勝利。川崎の遂行力不足に助けられた面もあったが、指揮官が言及したように4連敗中はすべて90失点以上と崩壊していたディフェンスの改善が光った。
その中でオフェンスで大きなインパクトを与えたのが新井楽人だ。ゲーム1で10得点2アシスト、ゲーム2では18得点3アシストを記録。特にゲーム2は、第1クォーターに11得点を挙げ横浜BCが先手を取る立役者になると、第4クォーター残り1分半にはリードを13点に広げるダメ押しの3ポイントシュート成功と要所での決定力を披露した。
新井といえば、10月12日のオーバータイムにもつれる千葉ジェッツ戦で33得点を挙げる大活躍を見せたが、その後はコンディション不良で2試合続けて欠場。復帰後の過去3試合も消化不良の内容に終わっていた。
新井はこの苦い経験を糧に、チームだけでなく自身もカムバックを果たせたことへの思いをこう語る。「川崎戦の前、直近3試合は自分らしいプレーができずに終わって本当に悔しい思いでした。この2試合は、ルーキーらしくアグレッシブにやろうとしっかりマインドセットをしました。それを最初から出せたのが、この結果に繋がったと思います」

「アグレッシブにプレーすることは成長するために一番重要」
今回、横浜BCは森井健太とプレータイムを分けあう司令塔の並里成がコンディション不良で欠場。その結果、森井がベンチにいる間は司令塔不在のラインナップで戦っていた。その中で新井はピック&ロールからの積極的な仕掛けで川崎ディフェンスを切り崩し、攻撃の起点としても貢献した。
ハンドラー役について新井は、「2度の海外遠征などオフシーズンで成長できた部分で、段々と自信はついていると思います。今回は並里さんがコンディション不良で出られないので、自分がクリエイトする機会が多くなると思っていました。自分が成長するための良い機会と捉えて、どんどんアタックできたのは良かったと思います」と手応えを語る。
そして今回ハンドラーをしっかりとこなせた背景には、まずは自分から仕掛けることを重視する気持ちの徹底があった。「ボールをもらったら最初の選択肢として、自分がアタックすることが大事です。それがパスファーストになっていたことで、ハンドラーとしてうまくいかない試合が続いていました。今回の川崎戦では、ファーストオプションは自分であることを曲げずにプレーし、そこでディフェンスで寄ってきたらパスをさばく選択ができました。それで良いプレーが続いたことには、自信を持てました」
33得点の千葉J戦が示すように、キャッチ&シュートからの長距離砲や効果的なカットインからの合わせのプレーなど、味方に使われた上での得点力は新井の大きな魅力だ。だが、ディフェンスの大きな脅威となるには、自らクリエイトする力も欠かせない。そして新井には、日本人選手では数少ないその役割を担える力がある。
この2連戦は新井にとって、自分がどんなプレーをするべきかを再認識させる良い機会となった。「開幕当初から(ハンドラーとして起点になりたい)思いはありましたが、チームバスケのことなどで悩むことが多くなり、自分らしいプレーができないことが続いていました。それがこの2試合で吹っ切れたというか、本当に良い流れに乗れる気がしています」
シーズンの約4分の1を終えたが、今の新井は平均11.5得点、1.8アシスト、3ポイントシュート成功率48.8%とルーキーの中では一番の活躍を見せている。これから相手のマークはより厳しくなるが、「ヘッドコーチやチームメートから『どんどんアグレッシに行け』と言われていますし、ここで遠慮していたら何もできないです。アグレッシブにプレーすることは成長するために一番重要だと思います」と語る積極性を維持できれば、今のハイパフォーマンスを継続できるはず。そして今の彼は期待のルーキーの枠を越え、日本人エースとしてすでに勝敗に大きな影響を与える存在となっている。
